スクーター、メンマ。


必要があってスクーターに乗った。
いわゆる50ccの原付きバイクだ。大きな私有地を行き来するのに借りたわけだが、なかなかに新鮮な気分になれた。

なにしろ数十年ぶりに乗ったのだ。
学生時代には"足"代わりだった。大人になってから巨大コンビナートでの構内移動手段として稀に使うくらいで、それだって10年以上は前の話だ。
日常的に見る乗り物かつ免許も持っているのに、ここまで縁が遠い乗り物も珍しいかもしれない。

操作自体はすぐに思い出せた。
エンジンはずいぶんと力強くなっているような気がする。同じ排気量にしては、走り出しが軽い。そして、大きなプラスチック製パーツを大胆に組み合わせていて、コストダウンが徹底されている。1つのネジで多くのパーツを留めるあたり、ママチャリを思い出させる。

それにしても頼りない。数分で慣れて、あとは気持ちよく走れたのだが、ずっと無防備さだけは消え去らなかった。思えば学生時代も、車を手に入れてからはスクーターの出番はかなり減ったものだった。快適さはもちろんだが、この頼りなさが自分には合わなかったのだろう。
自転車のほうが無防備ではあるけれど、それは軽快さに繋がる。
いま乗っている電動折り畳み自転車は、軽快さと楽さのバランスが、今の自分にぴったりだ。
スクーターがもう少し軽かったら、気持ちよく走れるパーソナルなモビリティとして気に入っていたかもしれない。
あるいは、今日は仕事用の借り物として乗ったから、どうしても気持ちが入らなかったのかもしれない。

 

 

そんな月曜日だった。
うっかり業務用メンマを買ってしまった。塩抜きをして水煮になっているもの。
味付けを自分で出来るのが利点。それに安い。
でも、特にメンマを山盛り食べたい気分ではないのだった。まして、調味液を作って煮る手間をかけてまで食べたくはない。
夕方のスーパーマーケットで僕は何を思って水煮メンマの大袋をカゴに入れたのだろう。自分の事なのに、よくわからない。

 

仕事文脈vol.18

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