多色ボールペンの供養

4月にしては肌寒い曇りの日。
昼に少しだけ散策ができた。
例によって知らない田舎を適当に歩いたわけだが、小さな神社の境内で、少し気になるものを見つけた。

古くなったお札や破魔矢を収める箱が本殿の脇にあった。
そのなかに、沢山の多色ボールペンがあったのだ。

2色のものも、3色のボールペンもある。たぶんボールペンとシャープペンの複合ペンもあっただろう。様々なメーカーと種類の多色ボールペンが、お守りや人形と一緒に納められていた。

「針供養」という行事がある。
扇子や履物の供養もテレビニュースで見たことがある。
使い古した仕事の道具を神様に納めるというのは、八百万の神を信仰する神道の価値観では当たり前なのかもしれない。その延長として、多色ボールペンは「廃棄」ではなくて「供養」を行っているのではないか。

しかし多くの多色ボールペンは、ペン軸を新調すれば再利用が可能だ。
持続可能な社会を達成するためには、神様のパワーに頼る前に、メーカーのWebサイトで対応する軸を検索すべきではないだろうか。

こういう「供養箱」には、様々なものが入っている。
日本人形、ひな人形、アメコミっぽいフィギュア。注連縄、熊手。なぜか五円玉を見たこともある。
USBメモリやSDカードも何度か見つけているけれど、内容がとても気になるところだ。

もしかしたら、この沢山のボールペンは誰かの遺品だったのかもしれない。ボールペン収集家が亡くなり、遺族がゴミとしては捨てづらくて、供養の箱に納めた。ありそうな話…には思えないけれども、一応の説明はできる。
見た感じは、中小企業の引き出しに溜まったペンを束ねて捨てた(納めた)ような雰囲気ではあったけれど。

 

 

ともあれ、真相は謎のまま。
筆記用具に縁のある神社でもないし、Google Mapやオカルトマニアのブログにも記載は無い。そもそも、自分だってそこまで真実が知りたいわけではない。
そういうことがあったな、で終わる小さな謎。

今日の神社と多色ボールペンは、そんな小さな謎の一つだった。明後日には忘れているだろう。

 

お題「ささやかな幸せ」

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