マスクを上下逆に着ける集団

所用により早朝に出発し、一息ついたのが10時過ぎ。
電話とメールのためにショッピング・モールに車を停めていたら、スーツ姿の男女が近くに集合していた。
営業活動を始めるにあたり、この駐車場でミーティングを行うらしい。
何やら怪しげな商売に見える。各戸を訪問して何かを売る仕事ではないかと思われる。
我が家にも、そういう人達が訪れる。今の時期だと、新入社員が研修の一環で無理な営業活動をさせられると聞いたことがある。地元にそういう会社があって、夕方に怒鳴られているところを見たことがある。

今回の「営業」の人達も、服装は新入社員らしきダークスーツだ。
ただしマスクの付け方が変わっていた。


マスク自体は、不織布製の使い捨て、グレーや白のもの。ただし、全員が上下を逆に着けている。
つまり本来は鼻のかたちに合わせるためのノーズピースが顎に来る。
鼻の周辺に隙間ができるけれど、プリーツの伸ばし具合で調整するらしい。

自分でも、この着け方を試してみた。ちょうど新品のマスクに変える頃合いだったので。
なるほど、まずは顎がシャープに見える。
そして、目の下のスペースが広がり、なんとなく明るい雰囲気になる。大袈裟にいうと、漫画の登場人物*1みたいな顔になるのだ。

 

しかしマスクとしては全く機能しない。
今日のような晴れた暖かい日でも、眼鏡に呼気が当たっているのがわかる。着け続けていれば、すぐに曇ってしまうだろう。
これはつまり、マスクでフィルタリングされない呼気が外気と混ざっているということだ。見栄えだけを考えた装着方法なのだと、着けた直後に実感できてしまう。

 

 

全員が同じ着け方をしていたのだから、おそらくは会社側の指導によるものだ。
未だマスク着用がマナーとされている昨今、しかし「マスクなんて要らないよね」と思う人も増えた。個人の自由で選べばいい(と政府が言う)状況になった。
そんな雰囲気のなかで、最も駄目な選択が、この「見た目だけ」のやり方だ。

外面だけは緊張感がある*2ように見せて、しかし顔貌を良くするための装身具とする、そんなテクニック。

もちろんウイルスは、そんな人間の都合を忖度しない。
ただ営業上の「少し格好良く見えるかもしれない」というだけの理由で、彼ら彼女らは仲間以外に嘘をつくことになる。嘘だけではなくて、おそらくはリスクも増やしている。そういうことが"普通"になってしまった。

おかしな人達がおかしなことをしている。僕たちは、とびきり変な時代に生きているのだ。

 

お題「わたしの仕事場」

*1:目が大きくて、鼻や顎が尖っていて、口が小さい。

*2:お客様の健康を気遣っている

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