今日は仕事の関係で富士宮市の北部まで行ってきた。
すぐ近くに大石寺があるので、空いた時間に散策してみた。
先日行ったのは、山梨県身延町の身延山久遠寺。日蓮宗の総本山。
今日の大石寺は日蓮正宗の総本山。もとより大きなお寺だったが、日蓮正宗から創価学会が生まれてからは、日本を代表する巨大宗教施設となった。
昔は信者さん達を満載したバスを、富士市や富士宮市では見かけたものだ。
でも、創価学会が日蓮正宗から破門された後は、訪れる人はめっきり減ってしまった。
とはいえ、広い敷地はおそろしく整っている。
雑草もゴミもなく、放置された建物なども見当たらない。1.5km×1.2kmほどの丘陵地全体が宗教施設となっている。
平日だからか、元は創価学会向けに拡張発展してきた場所だからか、今日は本当に静かだった。植木屋の軽自動車が1台と、配管屋らしきトラックが1台あったけれど、人は見当たらない。
信者(参拝者?)向けの"宗教グッズ商店街"みたいな場所は完全にシャッターを閉めているし、馬鹿みたいに大きな寺や講堂にも人がいない。
結局、生きて動いている人間は、学生みたいな歳のお坊さん1人だけだった。
奈良公園から人間と鹿を消して、建物を昭和から平成に立て直したような場所だった。
信者たちの泊まる宿坊や、修行や宗教イベントのための建物だけで小さな町くらいの規模があるのだが、デザインが白壁のお寺で統一されていて、余計な看板や標識は一切ない。古刹に見えて、車椅子用の通路などが完備されているあたりは、今も"生きて"いる宗教施設ということで、先日の身延山久遠寺と似ている。
ともあれ、広い宗教施設は各所で見てきたが、ここまで整えられていて隙が無く、そして出入り自由な場所は初めてかもしれない。
昭和生まれの人間としては、創価学会のイメージが強い土地ではある。
家族や親戚は、桜の時期に花見に行ったことがあるという。自分は実は初めての訪問だった。
信心どころか敬意さえもない自分が言うのも傲慢かもしれないが、意外と気持ちが良い場所ではあった。人がまるでいない(でも全く荒れていない)場所だから寂しさや不気味さを感じそうなものではあるけれど、とても静謐な気持ちで散策を楽しめた。
どこにいても鳥の声や水の流れる音が聞こえる*1。そして、東側を見れば富士山。気持ちが良くて当然だ。
たぶん信者さん達も、この場所で野外フェス的な盛り上がりをして、良い気持ちになるのだろう。そんな気がした。
45分足らずの滞在だったが、立ち寄って良かった。
大石寺は広く、今日は半分も回れていない。信者や関係者以外は入れない場所も多いはず。周辺を自転車やバイクで周囲を散策するのも楽しそう。観光地ではないが、個人的にはとても楽しかった。昭和-平成様式のコンクリート宗教建築もたっぷり見ることができたし。
*1:富士山の麓だから、綺麗な水が絶えず流れている。