市役所は進歩していた

午前中の早い時刻を予約して、市役所の手続きをしてきた。

母の葬儀からそろそろ一週間。生活は落ち着いているが、保険や行政など諸々の手続きで、日々なんとなく忙しない。

その諸々の手続きのうち、市役所で行うものについては、とても便利なサービスがある。予約制になるが、担当者が一人ついて1時間で全て片付けることができる。窓口巡りをしなくて済むし、他の来所者と一緒に待たなくてもいい。しかも、必要なものは事前に電話で教えてもらえる。
入院や介護施設の手続きでは手書き書類の山に辟易した。自分が引っ越しをした時も、似たような内容をひたすら書いた。
というわけで、多少なりとも楽をしようと、このサービスを利用することにした。

それでも住所や氏名やフリガナは沢山書くことになるのだと覚悟していた。なにしろ役所だから。
しかし、予想は良いほうに裏切られた。
なんと、事前に伝えておいた個人情報はもちろん、今日の最初に「基本情報シート」に書いた内容も、既に申請用紙に印刷されている。

これが本当にありがたい。

技術的には、とても素朴なものだ。
エクセル方眼紙で作った申請書類の原本一式にある氏名や住所のセルが、基本情報シートの情報を参照しているだけ。
基本情報シートを渡したら、担当者のアシスタントらしき人がぱたぱたとパソコンを操作していたから、その時に入力したのだろう。

相変わらず古臭い市役所の書類だから、「預金種別の"普通"を○で囲う」みたいなところは従来どおり。おそらく手書き書類の形式を変えられないのだろう。でも、そういったいくつかのレガシーな部分だけ書き足し、内容を確認すれば申請が済んでしまうのだ。小さな面談室みたいな場所で座っているだけで、各部署・窓口への書類送付も代行してくれる。毎回の本人確認書類の提示も不要、捺印も求められない。

さらに、年金事務所や税務署で求められるであろう戸籍謄本なども、この機会に準備してくれる。とても気が利いている。

これはもちろん素晴らしい住民サービスではあるが、市役所側の都合もある。
待合ロビーの混雑は減るし、手続きが理解できず滞る事態も解消する。
ずいぶん昔に国税局のアルバイトをしたときには、「わからなくなった」「自分にはできないと思った」と勝手に帰ってしまう人が珍しくなかった。
例えば伴侶を亡くしたばかりの高齢者ならば、なおさらのことだろう。

もちろん、手続きの途中で帰られては役所も困るし、本人だって面倒が増える。1回で済ませることができれば、全員がハッピーになれる。

 

この程度の創意工夫とデジタル技術の活用は、DXともいえない。やろうと思えば20年前でも可能だった。
ただ、もしもデジタル化がこれからの社会を便利にするのだとしたら、こういう小さな試みを積み重ねるしか無いのだろう。
エクセル方眼紙の手書き書類なんて大嫌いだけれど、今日のこのサービスは素晴らしいと言わざるを得ない。「地方行政書類管理・申請アシストシステム」の完成を待っていたら、僕は今日の手続きで、半日を潰すことになっていただろう。

1時間の予定が40分で終わった。
大げさではなく、今日は感激した。世の中は少しずつ良くなっている。

 

ところで、今日の昼食は静岡市のラーメン屋で食べた。
適当に入った店が、いわゆる「二郎」みたいな店だった。味の善し悪しはわからないが、満腹すぎて夕食はトマトと豆腐とゴボウサラダで済んだので、リーズナブルではある。ゴボウサラダは作りすぎたので、明日はゴボウサラダ・サンドイッチを作る予定だ。

 

お題「ささやかな幸せ」

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