家族の入院に関して、諸々の問題のうち、最も面倒かつ厄介かつ気の進まないものを「えいやっ」と片付けた。
具体的なことは書かないが、本当に胃が痛くなるようなやりとりだったのだ。
でも、その山場と想定していた今日は、案外すんなりと進んでしまった。
嬉しい拍子抜けである。
明日からも忙しいが、しばらくは悩むようなことは無いだろう。
今日までが険しい山をひたすら登る工程だった。ここからの道程も長いが、視界がひらけた道を、ゆっくりと下っていくだけだ。やるべきことは多く、今後も多少のトラブルはあれど、心と胃には優しいはず。そうでなければ困るし、そうであって欲しい。
別に祝杯でもなんでもないが、そんなわけで今日は良いコーヒー豆を挽いてみた。
アテはドーナッツ。
きちんと淹れたコーヒーは、とてもおいしかった。
そして、ドーナッツは、味が薄かった。
風味に欠けるというよりも、甘味や塩味や油の味など、基本的な味覚が"薄い"ようなのだ。一瞬だけ、厄介な病気に罹ったのかと自分を疑ってしまった。例えば新型コロナとか。
でも、コーヒーも料理もきちんと味がするので、やはりドーナッツの問題だ。
街の小さなベーカリーのドーナッツ。
不思議な食べ物だった。