多肉植物のなかではアロマティカスが好きだ。
ふわっとした柔毛に覆われていて、ぱっと見た感じでは多肉っぽくなくて、もさもさ生えるのも良い。育てやすいし、雑に茂っても見栄えがする。
名前の通り強い香りがして、お茶にすることもできるそうだ。僕はまだお茶は試したことがないが、確かに良い香りではある。
多肉植物の良さとして「増やしやすさ」があると思う。
その点、アロマティカスは簡単すぎるくらい。
というわけで、四国での一人暮らしでいちばん育てていて楽しかったのが、このアロマティカスだった。
1000円くらいの鉢植えを知り合いの店で買ったのが発端。
普段は、職場*1に置いていた。
増えた枝は自宅アパートで増やした。
静岡に戻ることになったときには、知人に大半を譲り、残りは職場の屋上の片隅に置いてきた。今も屋上で増えているそうだ。
静岡でも元気に育っていた。
ただし、アロマティカスは耐寒性が低い。
氷点下に晒されると、いきなり枯れてしまうことがある。
前の冬に、うっかり屋外に出したまま寒波にやられて、ほとんどの葉が落ちてしまった。運が良ければ静岡の冬を超えることができるが、基本的には屋内で越冬すべきだったのだ。
ごく僅か、5mmほど残った芽と、2cmに満たない葉だけを回収して、春先から丁寧に育ててきた。
ほとんど"培養"といっていい環境で、持てる技術を全て投入して、最近ようやく復活の兆しが見えてきたところ。多肉植物の栽培というより実験のような見た目だが、細い根が出て、そして新しい芽が分岐しはじめた。
もちろん新しい鉢植えを買う選択もあった。
でも春に探しても、なかなか売っていない。
見つけても、なんだか元気がなくて1500円もする。アロマティカスは好きだが、まだ長く育てていた株の一部がなんとか生きている状況で、新しい株を買うのは安直に思えてしまう。なので昨日まで悩みつつも、新規購入はしていなかった。
それが、今日は新しいアロマティカスを買ってしまった。
田舎によくある農産物直売所で、大きな株が150円で売られていたのだ。
おそらく農家が片手間に育てたのだろう。条件さえ合えば、すぐに増える植物だ。花卉栽培をしている農家なら、株分けして増やすのは"イージーモード"だと思う。
別に値段だけで買ったわけではないけれど、でもこれだけ安ければ抵抗は無い。
いま小さな芽と葉から育てているものに比べると色が濃い。品種が違うのかもしれない。
購入した時点でいささか茂りすぎだから、明日にでも株分けを行おうと思う。
全く関係が無いが、瀬戸内海の小豆島、小さな漁村の一角に、このアロマティカスが野生化している浜辺があった。
沙弥島や豊島にはサボテンが自生している岩礁もあった。
冬に温かい土地だから、園芸植物が帰化しやすいのかもしれない*2。
サボテンのほうはおそらく、かの地で"敵なし"だと思う。
そんなわけで、今日はアロマティカスを買った日。
夏にモサモサ増やして、今年はきちんと冬越しさせたい。