映画「シンウルトラマン」

今日もまた、家族の入院に関係する諸々のため午後から出かける。静岡の中心街で空いた時間ができたので、映画館に行くことにした。

今日見たのは「シンウルトラマン」。話題の作品だ。

上映を待ち望んでいたほどではない。
でもウルトラマンは子供の頃によく見ていた。

なにしろ頻繁に再放送をしていたのだ。子供の頃には既に「古い特撮作品」だったが、それでも楽しめるのが子供というもの。当時は数年前の作品でも、当たり前に「ウルトラ怪獣大全集」といった本や、子供向け雑誌の特集記事に載っていた。だから、随分と広い年齢の人達にとって馴染みのある作品なのだと思う。
トムとジェリー」みたいなものだ。「ドラえもん」のように新作が作られ続けているわけでもないのに、不思議なことかもしれない。

ともあれ庵野秀明氏の手掛ける「シンウルトラマン」だから、もちろん面白い。
ストーリーは書かない。
ただ、きちんと「ウルトラマン」になっていた。

シン・ゴジラが政治・ミリタリー色を足していたのに比べたら、SF的な仕掛けも、セリフや舞台設定も少しゆるい。でも、大真面目に考えたら馬鹿みたいなことも含めて、本当にウルトラマンらしさに溢れていた。

思うに、昭和のウルトラマン・シリーズは、ちょっとゆるくて非常識な演出や行動原理もまた、敵の不気味さ、あの世界の危うさに繋がっていたのではないか。大人になって、ようやく気づいた。

監督もスタッフも、本当にTV版のウルトラマンが大好きなのだろう。
もっとクールに、「リアル」にすることだってできた。
あるいはスタイリッシュなSFアクションにしてもよかった。
でも、あえてウルトラマンのクドいところやおかしなところは残して、そのうえで2時間映画として破綻しない作りに仕立てていた。なかなかできることではない。

そのうえで、庵野映画の統合ワールドとでもいうべき世界観を、本筋とは関係なく匂わせていたのも素敵だった*1。マーベル・コミック映画やキングコング対ゴジラみたいだ。

映画の後に、なんとなく「ガンダムのデザイン」と「カトキハジメ」氏を思い出した。
メカデザイナーカトキハジメ氏は、ガンダムをとても格好良くリメイクする。新しいガンダムやMS*2も、どんどん世に出している。他の新しいデザイナーは、戦車や航空機のように"リアルな"新作を描いているのだが、カトキハジメ氏は「ガンダムらしさ」を丁寧に残しながら、破綻しないように現代人の鑑賞に堪えるデザインを提案する。

ジャズやロックの世界でも同じようなアーティストは居る。
リスペクトした対象を壊さず、持ち味を活かし、さらに磨き上げる。本人も、それを望んでいる。

「そんなものが創作か」と言う人もいるだろう。
もちろん、創作である。好き勝手に「俺の考えたウルトラマンorガンダム」を新しく作るよりも難しいかもしれない。

 

 

まあ、そんな感じで良い映画だった。
セクハラ的な描写や、さすがにマニアしか喜ばないんじゃ…と思わせる台詞は気になったけれども、それでも面白く観ることができた。


映画館で見るのは今日が最後だが、いずれ動画配信か何かで、じっくり楽しみたいところ。SNSでは「ネタバレ」を気にする人がとても多いが、確かに他人に(他のオタクに)話したい内容ではある。

 

 

*1:とても重要な台詞ではあるが、主人公達の問題解決とは関係ない言葉でもあった。

*2:モビルスーツガンダム世界のロボット。

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