伊豆半島の東側、熱川にあるバナナワニ園の記録を書いていく。先週の火曜日に訪れた。
熱川といえば温泉が有名で、その温泉を使ってワニを飼ったり、バナナを始めとする熱帯植物を育てているのがバナナワニ園。
バナナとワニでバナナワニであって、黄色いワニがいるわけではない。
子供の頃に行った記憶がある。
水は濁っているし、植物園には興味が無いしで、親に連れられて行った観光施設の1つ、としか記憶していない。最近はずいぶんと綺麗になったというし、僕も加齢を重ねて動物園や植物園が大好きになったから、久しぶりに足を伸ばすことにした。
人も少ないし、一人でも楽しめるし、熱海とはひと味違う非日常である。
熱川バナナワニ園は3つのエリアからなる。
ワニ園と植物園と、植物園の分園。分園は少し離れていて、マイクロバスでの送迎がある。
ワニ園は、とにかくたくさんのワニがいる。
それほど動く動物ではないが、寒かったのか水に浸かって微動だにしないワニが多い。
とはいえ、側面や底面から眺められる工夫がしてあったりと、見ていて楽しい。
ここだけで随分と長い時間を過ごしてしまった。
植物園、いわゆるバナナ園の部分はガラス温室が連なっている。
バナナ温室には、もちろんバナナが植えてある。大きいのも小さいのもある。食用にしないような種類もある。葉を見ると、お寺や山に生えている芭蕉がバナナのことだとよくわかる。説明文も丁寧だけれど、バナナの造作を見ているだけでも面白い。
スパイスやハーブを育てている場所もあった。もちろん熱帯のフルーツもある。
コーヒーの赤い実や、スーパーマーケットで買えるスパイスの木々を実際に見るのはとても楽しい。
今ちょうど結実している木や草には親切に印があって、普通に歩いているだけでもフルーツを見つけられるのも良い。しかも、すぐ間近に見ることができる。
本物を見ると、例えばスターフルーツは1つの枝に大量に付いていて、なるほど東南アジア旅行中に安かった理由が実感できる。マンゴーもパパイヤも、このバナナワニ園では当たり前に収穫できるようだ。
温室で育てるような熱帯植物、例えば洋蘭や食虫植物、そしてありとあらゆる種類の観葉植物も見ることができる。というか、出荷しているんじゃないかというくらいに大量の植物がある。
ちなみに保温用の源泉があちこちにあるのだが、漏れた蒸気や湯の熱気で、食虫植物の類が半ば野生化していて面白かった。もとより暖かい伊豆半島でも、ここは特別である。
巨大なオオオニバスや着生ランの温室も見応えがある。
植物園に関しては、総じて茂りすぎな気がする。通路はきちんと確保されているけれど、勢いがありすぎて「人類滅亡後の植物園」な雰囲気すら漂う。人もほとんど視界に入らないし、設備そのものが古くなっているので、余計に植物の緑が際立つのだ。園丁ロボットがいれば完璧である。
あまり知られてはいないが、このバナナワニ園はチベットレッサーパンダの飼育も行っている。レッサーパンダは温泉の恩恵を受けてはいないようだが、皆とても元気だった。
大きな木をそのまま飼育エリアとしている場所では、とても高い枝にレッサーパンダが丸まっていて、すばらしく可愛かった。なかなか見られる風景ではない。
なぜかジュゴン、それからゾウガメやリクガメもいる。
斜面に作られた施設を歩いて巡るから、それなりに疲れる*1けれども、退屈する場面がひとつもなかった。
見晴らしも良いから、海や温泉街の風景も楽しめる。
昔の知人がこの熱川バナナワニ園を「唯一無二」と評していた。確かに他に比べる場所が思い至らない観光施設であり動植物の”園”である。
いくらでも悪ノリできて”古くさい観光地のオモシロスポット”を自称する事だって容易いのに、それなりに真面目に頑張っているのも好感が持てる。
熱海旅行の寄り道には少し遠い*2けれど、行けて良かった。
せっかく熱川まで来たのだからと、温泉街のほうも歩いてみたのだが、平日の夕方ということもあって閉店している店が大半だった。人がたくさんいるのも、温泉街から離れたところにある大型ホテルばかりという印象。
たぶん週末には賑わうのだろう。
仕方がないからプリンスホテルでコーヒーを飲んで、海岸で小笠原諸島の軽石を探すなどした。軽石はいくつか拾ったけれど、おそらくは普段から多少は見つかる(普通の)軽石ではないか。色が違う気がする。
熱川からは、伊豆高原や天城湯ヶ島、そして三島を経て帰宅。
静岡県中部から伊豆半島は本当に近くなった。帰路は高速道路をあまり使わずに、レザークラフト材料店やスーパーマーケットといった”日常の買い物”をしてのんびり帰ったのだが、それでも10年前の感覚より1時間は早く帰宅できた。
足は疲れた。でも、楽しい旅でした。
伊豆といえば静かで平和で寂しい西伊豆が好きだが、東伊豆も楽しい。
熱海だけでも再訪したいし、下田や伊東にも行きたい。
ちなみに今日は天丼を食べました。
名前は奇抜な「河童土器屋」、天丼は普通に高水準。
タチウオもエビも熱々で本当においしい。ご飯が硬めなのもすばらしい。
しかしどうして、こんな奇抜な名前なのだろう。