おつかいでパンを買いに行ったときに、カレーパンも買ってしまった。以下、そのことについて書く。
食パンをトレイに載せてレジに並んだ。焼き立てパンとしては大きな店ではあるが、特に他に買いたいものは無かった*1。家族に頼まれていた食パンだけの、シンプルな買い物になるはずだった。
レジの列に並んでいるときに、店員さんがトレイに山盛りのカレーパンを持ってきた。片手にトングを持っていて「いくつですか?」と聞く。
よくわからないけれど、他の人達は8個とか4個とか、まとまった数を当たり前に告げていた。
おそらくこの店の看板メニューなのだと思う。
とはいえ僕はカレーパンを買うつもりはなかったから、とりあえず「ありがとう」と言って、一歩後ろに下がる。そうすれば店員さんは、僕の前の客にカレーパンを進めることができるだろう、と考えたのだ。
しかし店員さんは、僕のトレイにカレーパンをとりあえず1つ乗せてくる。そして「まだ要りますか?」と聞く。僕がカレーパンを必要としない可能性については全く考えていないようだった。
断ってトレイから戻すのも悪い気がするから、最初に乗せた1つだけ買うことにした。数秒のやりとりではあったが、少し圧倒され、そして感心したのだ。
ここまでの確信を持って商品を売る人も珍しいのではないだろうか。
さすが支店をどんどん増やして、個人経営のベーカリーを淘汰してきた店である。今日は感謝デーでカレーパンが安い。となればレジに並ぶ誰もがカレーパンを(当店の揚げたてカレーパンを)最低1つは喜んで買うはずだ。
そういう思い込みは、強さになる。
そんなわけで今日のおやつはカレーパン。
店員の確信に満ちた態度に比べたら凡庸なカレーパンだった。普通においしい、それだけ。
もっと宗教的な何か、神秘体験じみたカレーパンとの交歓を期待していたので、少しだけがっかりした。とはいえ水準以上の品だったと思う。
カレーパンはスイーツではないため、僕が語るべきことは少ない。
勧められて買ったのなら、なおさらのことである。
*1:そういう日もある。