富士吉田のうどん

所用により、今日と明日は静岡県東部の富士山周辺、そして山梨県富士五湖近辺を訪問している。
諸事情あって現地に泊まるのではなく、夜には自宅に戻るのが少し面倒。とはいえ、高速道路と有料道路を使えば、いわゆる”下道”を走るのは最低限となるので、往復は楽なものである。

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ちょうど今が紅葉の季節(の終盤)で、イチョウもモミジもすばらしい色となっていた。特に今日は雲ひとつ無い青空で、紅葉を楽しむには最適だった。空いた時間に湖畔に降りて、コーヒーをのんびり飲みながら風景を眺めるだけで大満足。

 

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そんな今日の昼食は、吉田のうどん。
山梨県の富士吉田の名物だから「吉田うどん」で良いはずが、商標その他の問題で「吉田のうどん」と呼ばれている。

一昔前にB級グルメとして持て囃されて、今では郷土の味として定着(?)した麺料理だが、実際に食べてみると本当に素朴で、他の有名なB級グルメに比べてジャンクさに欠ける。
なにしろ乱切りの太いうどん(もそもそしている)に、醤油あるいは味噌の汁、または醤油と味噌を使った汁を合わせて、具材は茹でたキャベツや根菜、甘辛く煮た肉(馬肉が多い)なのだ。幅も高さも5〜10mmに乱切りされた「練った小麦」みたいなうどんは、ねじれていて噛み切るのに苦労する。
味付けも洗練とは程遠く、「土曜日の昼に家で作る野菜多めの袋ラーメン」を思わせる。あるいは地方のお祭りの日に作られる「まあ美味しいものじゃないけれど、これも形だからね」と出される汁物みたいな感じ。

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でも僕はこれが好物なのだ。山梨名物ならば「ほうとう」よりも断然この吉田のうどん。

初めて食べたのは学生時代、一人旅の途中だった。
まだB級グルメなんて言葉はなくて、神社参拝の老人とタクシー運転手を相手にした「安い麺料理」みたいな扱いで、農家の庭にできたプレハブ小屋で食べた。
「野菜は茹でたキャベツ」など決まりごとも無かったはず。本当に「家のうどん」で、麺だけが太く固かった。
地味で安くて、とびきりおいしくもなくゲテモノでもない、でも旅の楽しみになる料理というのは、人生で初めてだったかもしれない。

 

 

うどんは現地で食べる。
土産で買うのは「かんずり*1」を買う。富士五湖周辺に行くときには、可能な限りその2タスクを遂行する。「かんずり」さえあれば明日以降の食が豊かになる。今日は量の多いものが買えたので、ちょっとうれしい。

 

お題「ささやかな幸せ」

*1:新潟のものとは違う。唐辛子と山椒をごま油などで炒めた”食べる辣油”みたいなもの。吉田のうどんでは定番の薬味。
自宅では味噌汁や餃子、和え物に使う。エゴマ入りのものが好き。

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