映画「DUNE 砂の惑星」

映画「DUNE 砂の惑星」を観た。
午前中最初の上映は8時40分頃、終わったのが昼ごはん前。かなり長い映画である。
映像は凝りに凝っていて、どの場面もすごいとしか言いようがない。
特に砂の中から「サンドワーム」が出てくるシーンは、昔だったらそれだけでクライマックスシーンだろう。

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物語はわりとシンプル。王家や貴族の陰謀を絡めた貴種流離譚、今回はその始まり。物語が動き出したところで終わる。
「西洋人から見た中東-西アジアの不気味な感じ」が、スター・ウォーズ的な世界、つまり星を渡る宇宙船と剣と超能力が同居する未来世界と上手く合っていた。
大作SF映画として、「映画館で映画を見るのが好き」な人なら普通に楽しめると思う。

ただし用語は独特で、原作小説を読むか、公式サイトの用語集に目を通しておくのが良い。例えば「麻薬」である「スパイス」を「メランジ」と呼ぶなど、同じ対象に複数の呼び名がついているのが当たり前なのだ。そもそも舞台となる惑星すら「アラキス」であり「デューン」である。


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僕は若い頃に小説を読んでいる。
SF小説が好きならば教養として必須…みたいな思い込みで買って、一応は読み終えたのだが、どうにもぴんと来なかった。
確かに、数多あるSF小説や映画に影響を与えていることはわかる。
先に書いたように、超科学と剣戟とボロ布が同居する元祖みたいな作品で、それを可能にするいくつかのアイデアは素晴らしい。「DUNEに比べればスター・ウォーズなんて穴だらけの設定だ」と何かで読んだが、確かに”設定好き”にはたまらない描写が多かった。
長い小説を「教養」として読むよりは、長い映画を楽しんで「あ、これは宮崎駿監督が真似した」「ああ、あれの元ネタはDUNEだったのか」と気づくほうが、たぶん楽しい。

それと、主人公の母親が妙に強いのが面白かった。
普通なら犠牲になって死んでしまいそうな見た目と役割なのに。映像で見て「あ、この人は生き残るんだった」と気づく位に、小説の内容は忘れていた。

 

 

そんなふうに僕としては大満足だったのだが、ちょっと他人には勧めづらい。
155分という上映時間、ややこしいカタカナ用語、説明不足の設定。昨今のSF超大作映画としては、いささか重い。
終盤でヒロインと結ばれたりもしないし、悪者が気持ちよく成敗されたりもしない。なんだか面白い乗り物(フラップター)が出てきても特別な使われ方をするわけでもないし*1、重くて暗くて思わせぶりな場面ばかりで、娯楽作にしては肩が凝る。
顔も出てこない人や、本心を隠している人が陰謀を巡らしていて、しかも我々が共感しづらい理由や方法なので、どうにも感情移入しづらい。感情移入なんてどうでもいい、ただ壮大な世界と異文化を楽しみたいのだ、という人は日本では少数派になる。

 

 

まだ通勤の混雑がある間に家を出て、午前中を丸々使って見た映画。
実は無料招待券を使ったのだが*2それを差し引いても素晴らしい作品だった。ただし(繰り返しになるが)他人には勧めない。予告編で「いいな」と思った人に限っては、面白さを保証するけれど。続編が待ち遠しい。

 

お題「わたしの癒やし」

*1:ちょっと速いヘリコプターだった。「天空の城ラピュタ」とは全然違う。

*2:最終日だった。

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