軽々しく街に行く気にもなれないし、寒いし風も強いので、海岸沿いを散歩した。
たぶん街よりも寒いし、風も強い。
でも人は少なくて、お金も使わなくて済むから、悪い選択ではないと思う。
波打ち際には、なんだかよくわからない魚の死骸がたくさん打ち上げられていた。
損傷が激しいが、ミズウオだろうか。
タチウオやカマスの顔をさらに獰猛にして、でも体を貧弱にしたような細長い魚が8尾ほど死んでいた。カラスとカモメにとってはご馳走だったようだ。
あまりに寒いのと、急いでパソコンで片付ける仕事ができたので、帰路にファミレスへ立ち寄った。
首都圏の緊急事態宣言で世の中は震撼気味かと思ったが、店内の雰囲気はそれほどでもない。
店側の対応は強化されている様子。仕切り付きのカウンター席が増え、テーブル席も間隔を開けていた。
変わらないのは客のほう。
「年末年始に何してた?」みたいな会話が聞こえてくる(大きな声だ。)。見るとマスクをしていない。
店の入口やテーブルには「食事中以外はマスクをしてください」と表示がある。なのに、コーヒーカップを片手に、久しぶりに会った相手と、マスクを外して会話をしているのだ。
そういう人達があちこちにいる。
もちろん、ドリンクバーのブースにはマスク無しでやってくる。
あの人達にとっては「食事中」とは、注文した生姜焼き定食やメープルパンケーキを口に運んでいる時のことなのだろう。
しかしもちろん、店側が想定する、新型コロナ感染症対策としてのそれは「どうしても口を露出しなければならない状況」のこと、つまり食後のコーヒーも爽健美茶も、「食事中」である。
言いたくはないが、これくらいは”考えればわかること”である。
ドリンクバーでのマスク着用に関しては、店員に注意を受けて、少し揉め事になっていた。
「ここは静岡だぞ」と、注意を受けた中年女性達は反論していた。「東京や神奈川のようにならないためにも、どうかお願いします」と伝える店員に僕は同意する。ファミリーレストランの店員ならば、もっとマニュアル化された言い方もあったと思う。でも、この誰もが正しい認識なんてできていない状況で、「緊急事態宣言になっては手遅れ」と伝える危機感は、正しいはずだ。
さすがデニーズ、すばらしい。僕のチョコレートパフェはメニュー写真と違っていた(構成パーツが足りないような気がする…)けれど、気にしないことにする。
帰宅したら、近所の人がシュークリームを届けてくれた。
「安かったから買ったが、食べきれない」とのこと。今、家族が体調を崩して寝込んでいるのだが、それを知った近所の人達が大根や白菜や熟成黒ニンニクや、ディスカウントスーパーの特売品の余りを届けてくれるのだった。
正直なところ病人には適さない、あるいは消費に手間がかかるものばかりで少し困っているけれど、善意を無駄にしないためにも、きちんと食べていく*1。
全く関係ないのだが、帰宅前に家族から頼まれた「8枚切の食パン」が、どの店でも売り切れだった。
最終的にセブンイレブンで、最後の1袋を手に入れることができた。それだって、普通の食パンではなくて、白パンみたいな生地と焼き加減の品だった。
ただの偶然だとは思う。
ただ、世間ではぽつぽつとトイレットペーパーが売り切れているところもあると聞くし、僕もドラッグストアで空の棚を見かけたので、8枚切食パンも何かしらの「社会的なドタバタ」に巻き込まれている可能性がある。記録として、書き残しておく。
「8枚切食パンが店頭から消えた日。思えばあの日が、終わりの始まりだったのかもしれない…」と、後で回顧する可能性だって、無いわけではない。
*1:さすがに黒ニンニクは、病人に食べさせるわけにはいかない。