先日の和歌山旅行で食べたものについて。
といっても記録がほとんど残っていない。写真を撮らなかったのだ。
元より「観光地のおいしいもの」の店は混む。一人旅で長く待つのは苦痛でしかない。食べ物に関しては「地元のものを食べる」を原則としたうえで、動物園や古跡巡りよりも低い優先度に設定して旅行の計画を立てていた。
和歌山県の食については、知識不足でもあった。知らないものは食べられない。
まず初日の朝食。
静岡から和歌山に向かう途中にある、三重県菰野町の「Snug」に立ち寄った。
インターチェンジから降りてすぐのところにある。ここの朝ごはんがおいしいのだ。パンもジャムも自家製で、贅沢な気持ちになる。イングリッシュブレックファストがお気に入り*1。和歌山旅行としては蛇足ではあるけれど、こうしてチャンスがあれば立ち寄ってしまう店である。
昼ごはんは、友ヶ島で食べた。
船に乗る前に買っておいた、餡無しのよもぎ餅。漁村の食料品店といった感じの店で売られていたもの。疲れていると餅ですら身体に”効く”気がする。
しかし餡の入っていない、しかし冷めても柔らかな餅(大福のような感じ)を単品で食べたのは初めてかもしれない。薄甘く、よもぎの色が濃くて、不思議な良さがあった。日常食として、こういうもので軽めの昼を済ませているのかもしれない。
夕食は和歌山市街の散策中に、とんかつを食べた。
Twitterのフォロワーさんから教えていただいた、老舗食堂の「更科本店」は、特に和歌山名物というわけでもない。地元の人に愛されてきた、街の蕎麦屋さん。蕎麦屋だがオムライスもある感じ。地元の老人がテレビを見ながらカレーを食べているような店だった。
ご飯を少なめにしてもらったけれど、それでも量は十分。
とんかつも大きい。
トマトとウスターソースとデミグラスソースを混ぜたような、よくわからないソースがたっぷりかかっていて、なかなかにおいしい。
観光旅行向けとは言い難いけれど、見知らぬ土地の老舗というのは良いもの。
壁に塗り込められた水稲も趣がある、良い店だった。
今回泊まったのは、いわゆる観光ホテル。2連泊。
朝食は「朝食ビュッフェ」をあらかじめ盛り付けたような形式。新型コロナ対策の結果、学食の豪華版みたいな「ワントレイ・ブレックファスト」になっていた。
可もなく不可もなく。クエのアラを使った澄まし汁だけ印象に残っている。
ちなみに翌日の朝食は、パンを中心にした洋風だった。何の予告もなく、和洋が毎日切り替わるらしい。
2日目の昼食は、海鮮丼。
観光地のご飯そのもの。静岡でも同じものが食べられる。
観光用鮮魚センターみたいな場所で済ませた。
シラス丼がおすすめ、と書かれていたが、シラスが山盛りになっているのが売りらしい。シラスも静岡で食べられる。そして、山盛りになっていて特に嬉しいわけでもない。なぜかこの商業施設では、どの店もシラスの山盛り丼を売りにしていた。
ちなみに写真は撮っていない。
夜は和歌山ラーメン。
ラーメン自体は、それほど特徴があるものではない。カマボコがかわいい。
サイドメニューに必ず押し寿司と茹で卵があるのが和歌山ラーメン店の特徴だそうだ。
しかし、押し寿司の笹を剥いて、茹で卵の殻を剥いているうちにラーメンが来てしまった。
個人的には、ラーメンと押し寿司の組み合わせにシナジー効果は認めない。
関西の「炭水化物with炭水化物」文化としても、讃岐うどんとちらし寿司ほど調和が取れていない気がするのだ。「せっかちな紀州人」は、ラーメンを待つあいだに食べるらしいのだが、自分としてはそこまで急ぐ理由もない。
ラーメンはおいしかった。しかし語るほどの知識もない。昼間にアドベンチャーワールドを歩き回り疲弊していたため、しょっぱくて簡単な食事が嬉しい。
3日目の朝食は上に書いた通り。パンを残したら、何個か追加してお土産にしてくれた。謎のサービスである。
「客が少ないから、余っても困るのだ」といった説明を受けた。パック入りのジュースなども「どんどん持っていってくれ」と配っていた。
どうやら、新型コロナとGoToトラベルで、少ない人数で安く売り出しているため、こういう雑な方法になっているようだ。大変な時代である。
昼食は最後の和歌山ごはん、名物の「めはり寿司」を食べてみた。
昼食の時間に水族館や車移動をしていたこと、観光向けレストランで「めはり寿司セット:めはり寿司と蕎麦と天ぷらと季節の小鉢」みたいなものを食べる気分でもなかったために、道の駅で買った単品(3個入り)をベンチでもそもそと食べたのだった。
しかし、こういう種類の食べ物だと思う。行動食というか、ファストフードの類だろう。だから個人的には満足。
夕食は三重県の紀北町で、伊勢うどんを食べた。
これもまたファストフード。さっと注文して、数分で食べる。
気分的にもエネルギー補給でしかない。あとは高速道路で帰宅するだけだから、いちおうお腹に入れておく位のもの。
ただし、かつて三重県に住んでいた身としては懐かしい味ではある。
ひたすら柔らかい麺に醤油とネギとかつおぶし。伊勢うどんは、あまり豪華にしないほうが”らしい”と思っている。
そんなわけで、食費がかからない旅だった。
カフェでお茶をするような時間もなかった。
買い込んだ餅菓子や柑橘類をホテルで食べたくらい。ホテルの喫茶室も閉まっていたし。
移動時間は長く、何度も道の駅には立ち寄っている。でも、買い物はそれほどしていない。
1人かつ酒も飲まないとなると、海鮮料理店でクエ鍋なども楽しめない。
カニやウニや肉といったスター性のある名物に欠ける点は、静岡に似ているのかもしれない。
次に和歌山に行ったら、もう少し豪華な食事をしたい。
山のほうで宿坊料理もいい。
とはいえ、こんな食生活でも何も後悔が無かった。アドベンチャーワールドでパンダのパンケーキを食べることができなかったことも、特に悔しくない。
お土産は「デラックスケーキ」。
大好物。
本店に行けたのはファンとして嬉しい限り。本店には「デラックスケーキの切れ端」もあった(もちろん買った)。