ミッドサマー
新型コロナウイルス対策の非常事態宣言も解けて、映画館の営業も再開した。
とはいえ、シネコンでも予約は当日のみ、席は「縦方向は1段ずつ空けて、隣とは2席空けるルール」となっている。採算の関係か、1日の上映時間も少ない*1。
平日なら空いているだろうと行ってみたら、客は僕以外に2人しかいなかった。
元より狭いシアターである。良い席を選ぶとなると、十分に離れているとはいえ全体としては近くに座っていることになる。なので、上映開始時には、予約した席からさらに離れた勝手な場所に、3人とも自主的に動いていた。なんだか面白い。
映画は素晴らしかった。
観たくて、でも2月から3月には色々あって断念していた作品を、こうして「新規作品の上映中止に伴う延期」によって観ることができた。幸運と言っては不謹慎だろうか。
ともかく、映画はこんな感じ。
予告編で大体の雰囲気はわかる。
マリファナくらいは嗜む現代アメリカの若者たちが、北欧の古い集落で開催される夏至祭に 参加する。キリスト教以前から続いているような、穏やかだが想像を絶する習俗に巻き込まれた若者たちは…といったお話。
最初から不穏な場面ばかり続くし、不穏だなあと思うと、数分後には間違いなく、おそろしく怖い状況へと陥る。
しかし映像はとても美しい。村の人達は、白い麻のドレスやシャツを着て、きちんと髪を結っている。各人の服には丁寧な刺繍がほどこされている。
建物のかたちや色合いも可愛らしいし、村には花が咲き乱れ、明るい夏がいつまでも続きそうだ。
昔のku:nelやリンネル、というかKINFOLKあたりを好む人にはど真ん中のビジュアル。クリーンでオーガニックな北欧モダンと、非日常なくらいのヨーロピアンカントリースタイルの組み合わせは、まさに映像美。
祭の内容が「ウィッカーマン」的なものだったり、村人達の常識が世間とずれている点も含めて、「古い魔女の村」っぽさが素敵だと思う人もいるかもしれない。
ただしこの集落が、本当に古いのか、それとも怪しいカルトやコミューンなのかは、はっきりと描かれない。
そして、予告編で想像するよりも「痛い描写」は直接的である。
というか、普通の映画で、ここまで様々なものを”直接描く”ことは無いだろう。映像が夜中に蘇って眠れなくなるタイプの人にはおすすめしない。
とはいえ、不思議な魅力のある作品である。
ただの悪趣味ホラーではない。ドラッグ漬けの幻想映画でもない。
後半の、主人公達の変容などは、その周囲の村人たちの行動も含めて、興味深かった。「ああ、こういう共鳴をして、人が変わるのか」と思わせる説得力がある。
ちょっと他に類を見ないタイプの作品。
同じ監督の「ヘレディタリー 継承」のほうが、ホラーマニア向けで万人受けしないと思う。
毛色の変わった作品でも、趣味でない映像でも楽しめる、という人ならば、「ミッドサマー」はおすすめできる。西洋のどろっとした部分が味わえます。
善通寺 熊岡菓子店の岩パン
遠方の友人へ名物を送りたい、日持ちして、ローカル色があって、お手軽なもの。高松市内で和三盆でも見繕うつもりだったけれど、自分の(おそらく四国在住期間に最後の)購入も考えたら、善通寺の熊岡菓子店へ車を向けていた。
昼過ぎに電話をしたら「今日はまだある。15時までに来てくれれば確実であろう」との返事。以前は午前中に売り切れていたのだから、やはり今は客足が遠のいているのだろう。
いつもどおり、善通寺境内の散策などをしながら店に行き、何種類か購入した。
特に岩パンを多めに買った。友人からしたら、見たこともないお菓子である。なので送るのが楽しみ。
ちなみに、カメラもスマートフォンも車に忘れたので写真は無い。おそらく、四国の住人としては最後の訪問だから、ちょっとだけ寂しかった。
もっと他に書くこともある日記ではあるが、今日は2項目で終わり。
シネコンのために久しぶりにイオン、あの田舎にゼロから作られたタイプの巨大なショッピングモール(昔からある大型スーパーを改装したものではない純血種のイオン)に行ったのだが、さすがに新型コロナウイルス対策はしっかりしていた。お店の多くは体温の非接触検査をしていたし、エスカレーターは1段空けるよう係員が声掛けをしていて、エレベーターは「田の字」にマス目が描かれていて、4人以上は乗れない工夫がされていた。
とはいえ、個人的な方針としては、今後も不要不急の外出は控えるつもり。自分や周辺の人達への影響もあるけれど、まだ医療者の負担を増やすわけにはいかない。なにより、実家に戻れば、肺炎が致命的な両親と暮らすのだから、今は用心に越したことはない。なかなか難しいバランスが試される日々ではある。
今週のお題「遠くへ行きたい」
*1:ちなみに僕が観たい作品は、朝にしか上映しない。1日に1回なのだから、もっと利便性の高い時刻にすれば良いのに、と思う。何か思惑や事情があるのだろうか。