餃子を包む

朝に少しだけ自転車散歩。

とても寂しい、人とすれ違わないような道を選んでいたのに、知人と遭遇してしまった。
自分と同じ、県外からの”移住者”であるご夫婦。
小さなカフェのイベントや、町のマルシェ的なもので何度か顔を合わせた。県庁所在地とはいえ高松は小さな街だから、似たような境遇と趣味嗜好の人間は集まりやすい*1。文化部的なイベントでは、参加者に県外出身者が多く、海外赴任中の日本人コミュニティみたいな雰囲気になったことさえある。

とはいえお互いの名前も忘れているくらいで、お店で会ってもわざわざ話に行ったりはしない。
ただ挨拶はする、くらいの緩い繋がりだ。

そんな間柄であっても、このCOVID-19の非常事態宣言下においては、挨拶以上の話をしてしまう。そう、このご時世で「県外ナンバー」の人間はいま、なんとなく肩身が狭いのだった。

知り合いが少なくて、自覚している以上に会話に飢えているということもあるだろう。ちょっとハイになっているというか。
そんなわけで、今日は挨拶だけでなくて「情報交換」のような雑談を(2m以上離れて)行った。

自分が先日遭遇したような、駐車場における「県外ナンバーへのお咎め」に、彼らも遭遇したのだという。
場所はなんと「はなまるうどん」である*2
どこの世界に、県外から「不要不急の遊び」に来て、全国チェーンの「はなまるうどん」に行く人間がいるのか。

ご夫婦で食事をした後、奥さんが1人になった時に「注意」を受けたそうだ。食後、子供に外の風を当てていたら、50代くらいのおじさんに「こんな時に他県から来るなんて常識を知れ」と強く言われた、とのこと。
若い女性、ベビーカー、県外ナンバーという組み合わせに強気になったのかもしれない。
そういう「強気に絡んでくる中高年男性」は何処にでも、いつでもいる。彼らが今、我慢できなくなる対象が「県外の人間」だとしたら、これはもう迷惑でしかない。
「精神の田舎者」と呼ぶことにしよう。

 

異邦人 (新潮文庫)

異邦人 (新潮文庫)

  • 作者:カミュ
  • 発売日: 1963/07/02
  • メディア: 文庫
 

 

田舎だと思って住み始めると意外と都会で便利、そういう県庁所在地ではあるが、やはり「外の人間」には慣れていないように思える事は多い。
自分が住んできた他の県は、日系人外国人労働者が多く、平成の時代にはその手の摩擦もずいぶんと“こなれて”いた。彼らと結婚した人もいたし、見た目と言葉が違う人達向けのイベントや飲食店に顔を出すことも、ちょっと変わった雑貨店に行くくらいの選択とされていた。

まだこの街ではそこまでの馴染みかたは見られない。四国の多くの街が、そうなのかもしれない。
国籍不明の浅黒い顔の人達(英語を話す)、そして造船関係で働くベトナム人が多い気がするが、前に「彼らの行く食材屋があったら、自分も行きたい」と言ったらずいぶん驚かれた事がある。

願わくば、彼らのような見た目や雰囲気が違う人達に、攻撃の矛先が向きませんように。

ただでさえ情報収集能力と収入が低い傾向にあるわけで、今もマスクを着けずに幹線道路や海沿いの工業地帯で自転車を走らせている姿をよく見る。
彼らとて社会の一員だ。「不安なので、つい言ってしまった」は通用しないのが、人の尊厳というものである。
このぎすぎすした空気が、ピタゴラ装置的に「新型コロナウイルス」から連鎖したものであるのは間違いない。だとしたら、本当に嫌な性質のウイルスである。社会を病気にするなんて。

 

天冥の標Ⅱ 救世群

天冥の標Ⅱ 救世群

 

 

 

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話はまるで変わるが、今日は餃子を作った。
農協の前で無人販売が行われていて*3状態は悪いが格安のキャベツがあったのだ。

多く消費できて、冷蔵庫の他の在庫も使えて、備蓄も可能なもの、として思いついたのが餃子。外食の機会を減らさざるをえない、そして暇だけはたっぷりある今にぴったりの料理。

皮だけは、他の買い物(来週前半までの野菜とヨーグルトとパン)と共に買った。
ほかは家にあるもので済ませた。

餡の野菜多め、小さめの寸法、付け合せにモヤシ、という結果的には浜松餃子のスタイルになってしまった。別に里心がついているわけでもないけれど、いつの間にか「実家の味」になってしまう。

しかし餃子は、独り暮らしで作ってメリットが多い料理ではない。
時間と手間と、食べる量を考えると、独身者は店で買ったほうが良い。雑に保管できないこともあり、いま冷凍庫が餃子で満杯になっている。

遅めの昼食は、この餃子だけで済ませた。
満腹になって、読書をしながら寝てしまった。目を覚ましたら、外が暗くなり、4時間が経過していた。
生活リズムがめちゃくちゃになった。餃子が悪い。

昼にやりたかったことを、今から片付ける。
晩ごはんは何にしよう。まだ空腹にならなくて、何も思いつかない。

 

シンプルな一皿を究める 丁寧はかんたん

シンプルな一皿を究める 丁寧はかんたん

  • 作者:ウー・ウェン
  • 発売日: 2018/04/06
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

お題「気分転換」

 

*1:だから人の少ない散歩&サイクリング道を探すと同じところにたどり着くのかもしれない。

*2:丸亀製麺所」だったら最高なのだが、香川県には数店舗しか無い。

*3:びっくりした。

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