マスク届く・マスク貰う

実家からマスクが届いた。
両親の住む実家は、マスクに限らず災害時の備蓄が充実している。

https://www.instagram.com/p/B_W_ABhAhzC/

 

これは「いつか来る」と言われ続けている東海大地震に備えてのものであり、あの東日本大震災で危機感と備蓄体制がさらに高まった結果でもある。平均よりは上かもしれないが、地元ではこれくらいは突飛な体制ではない。
社会インフラに関する会社に勤めていた2人だから、災害への関心は元より深い両親ではあるが、僕も同級生も、静岡の「防災訓練」の本気度は、他県から驚かれる水準のはずだ。

 

2人暮らしには広い敷地には、車2台が収まるくらいの倉庫があり、設備・環境としては申し分ない。
トイレットペーパーや備蓄用飲料水、登山・キャンプ用品*1それに保存食も貯めてある。

食料品や水に関してはローテーション消費をきちんと行っている。最悪の場合でも、地場産業的に馴染みがあるシーチキンがいつも食料庫にある。

おそらくは、有事の際には向こう三軒両隣へも支援するつもりの備蓄量なのだと思う。


特に母の性格が、このような、ほぼ完璧な備蓄体制を維持している。
AIの反乱で世界が荒廃した後にもマシンガン(備蓄はしていない筈だ)で抵抗しそうな母である。実にシリアスな世界観の人なのだ。

マスクに関しては、父が花粉症のため、一定数を「箱買い」で常備していた。
母も持病で免疫が落ちていて、通院用に昨年から医療用を購入していたようだ*2
確かPM2.5が騒がれた頃から、良いマスクを需要が少ない夏頃に通販で買う習慣ができていたと記憶している。

 

そんなわけで、実家から送られてきたマスクは、数種類のグレードが揃っている。
フィルター性能に合わせて、「日常用」「買い物用」「人混み用」と使い分けることができるだろう。なんというか、このご時世に贅沢な話である。

手元にある布マスクと合わせれば、個人用防疫策としてのマスクは十分な量が揃った。

 

 

 

布マスクといえば、自作品が1枚、遠方の知人が送ってくれたもの1枚を交代で使っている。
そして手持ちのディスポーザブルマスク*3は「役所など人混み専用」として、可能な限り温存していた。

そして昨日は、初対面のご婦人から1枚をいただいたのだった。
手芸が趣味とのこと。「試しに何枚か縫ってみた試作品だから、性能は当てにしないで」とは言っていたが、つけ心地はとても良い。折ったコーヒーフィルターを仕込むことも簡単にできる。これでもう完成品ではないか、とさえ思える。

布はいくらでもあるけれどゴム紐が手に入らないと困っていた。「ズパゲッティ」を提案したところ、買って試すという。
行動力と親切心に溢れた人。自分も趣味でものを作るから、ああいう人に憧れる。
書店でちょっと会話をした程度の他人に、良いものを気持ちよく手渡すことができるなんて、格好良いではないか。

 

 

 

マスクについては余裕ができた。
食料品事情も、まず問題は無い。でも葉物野菜が高いのはちょっと困る。春キャベツが290円だった。
その他の懸案事項については、滞っている。片付け、模様替えも含めた部屋の再整理、不用品の処分などは「明日でもできる」と後回しになってしまっている。
退職後の手続きに関しては書類が届かないとどうしようもないし、衣替えをするには妙に肌寒い。
とはいえ、まずまずの「非常事生活」を送れているのではないだろうか。

 

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戦中・戦後の暮しの記録 君と、これから生まれてくる君へ

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そういえば、銀行に行く途中で見かけたいくつかの讃岐うどん店は、短いながらも行列ができていた。ガイドブックや雑誌の特集に載るような店や、地元の人が勧めるような有名店。帰宅して少し調べたら、ここ数日、あるいは連休中に休業する前に1杯食べておこう、と目論む人が増えているらしい。一種の駆け込み需要だ。

アパートの近所の店も、来週からは臨時閉店するという。
何か支える策は…と探していたら「SAVE THE UDON 讃岐うどんを絶対守る」というプロジェクトを発見した。いわゆる先払い式チケットをネット通販するタイプだ。
行ったことがない店ばかりだが、少額でも買ってみようと思う。「わかめうどんの元祖」なんてあるのか。そりゃあ何にでも始まりはあるよな…と眺めているだけで思わぬ発見もある。

www.savetheudon.com

 

静岡の実家近辺では、「Yui プロジェクト」なる同様の先払いチケットタイプの支援策が始動しているようだ。これも何かしらの援助をしたいところ。帰省した街がつまらなくなっていたら嫌だから。

 

日記の最後になってしまいましたが、前に公開した「欲しいものリスト」からプレゼントを送ってくださった匿名の方、本当にありがとうございます。
タイミングからして、自分の急な失業を受けての品だと受け止めています。あるいは昨今の社会情勢からの贈り物でしょうか。見返りを求めない日々の雑感ではありますが、こうして手元に品物が届くことは、予想以上に嬉しいものです。ネット回線の向こう側にいる、沢山の、そして一人ひとりを想う大切さを、あらためて考えています。

 

自分はこのように、のほほんと暮らしています。誰もが困難に突入してしまった状況、お互いに息災でいられることを願っています。分断と格差ばかり露わになる、実に嫌な性質の災厄ですが、より良い未来へと生き延びていきたいと思います。

 

天冥の標 2 救世群 (ハヤカワ文庫JA)

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 そういえば、この大好きなアウトブレイク・パニック小説がAmazonで無料配信中です。
アカウントを持つ人はぜひ。長い長いシリーズの2巻、ストーリー上では”すべての発端”となるパンデミックが描かれています。時代的には現代。SF小説ではあるけれど、この巻だけならSFの苦手な人でも読めますし、お話として完結しているので(他の巻への伏線は気にしなくて大丈夫なレベル)おすすめです。

 

「この国の国民は,外因に害される心配がないので,人間関係以外のものが見えなくなっている。興味があるのは自分とつながりのあるごく狭い世界だけ。ほとんどの人が自分の周りに壁を作り,壁の外のことは関係がないと考えている。ただ壁の内側に入られたと感じたときだけ猛然と反撃してくるのだ。本当はそんな壁など幻想でしかないのに」

「守るための行いは許され,守るためでなければ何かをしてはいけない,というような暗黙の了解があった。だが,守るということは線を引くことであり,要するに何かを切り捨てる冷たい行いなのである,ということは決して口にされることはなかった」

 今の状況で読めば、何かしらの示唆を得ることができると確信しています。
プロフェッショナルが活躍する人間ドラマとしても面白いです。

先日、「星雲賞」を受賞した時の作者の言葉を引用しておきます。

現在、世界は新型コロナウイルスへの怯えに染まってしまっています。私は三月初頭まで、この病気のことをたいしたことはないと思っていたんですが、この草稿を手直しした月末には、まったく話が違ってきました。感染症の脅威というものが、単純な致死率や症状だけから来るものではないと思い知らされているところです。そして多くの国や都市が、実際に門戸を閉ざしていくという、見たことのない光景が現れています。

いや、感染症がもたらす光景というのは、人間が病気にかかる限り、太古から未来までずっとこうなんでしょう。

感染症と差別について描いた《天冥の標》が、みなさんの心に訴えたということは、みなさん自身が差別される、そして差別することへの恐れがあるのだろうと思います。歴史と社会が教えてくれるのは、「私たちは普通に暮らしていると差別する」ということです。これを言うからには私も確実に何かを差別している。そして、それを差別だと指摘されると動揺し、怒るのです。他人がやっている場合は敏感に感じ取れますが、自分がやっている場合は自覚しづらい。

「だから差別するのは生き物として仕方ないのだ、自然なのだ」と話を続けることに、私は悩みつつ、格好悪く、抵抗します。逆に、自然の進化の理にさからうものとしての人間性、人道、人工といったものに、憧れと疑いをもって近づきます。その不自然さや不器用さや突飛さを書き起こしたものが、SFになると思っています。

そのようなSFをお届けしたいです。

 今日の日記はことさら長くなってしまいました。
おやすみなさい。今後ともよろしく。

 

お題「気分転換」

お題「#おうち時間

*1:これは両親の趣味の道具でもある。最近はもう山には行けないけれど、捨てずに保管してある。

*2:現在の母は「通院が最も感染リスクが高い」という理由で、投薬その他の治療が「通院・入院治療を極力減らす」スタイルに切り替わったようだ。結果として自宅で過ごす日が増えている。

*3:海外旅行用に買ったものが残っていた。機内泊の時に喉を守るために買ったのだった。