自分の生活サイクルでは、週の真ん中にある種の料理を作ることがよくある。どういう料理かというと、冷蔵庫の片付けのための雑な料理だ。
週末には主にお弁当と朝食のための作り置きをする。
きちんとしたお惣菜も作るけれど、ただ電子レンジで加熱しただけの野菜や、日持ちする加工肉っぽい品(鶏ハムなど)も多い。これらは使用前に料理に使う。
平日にも葉物野菜や魚などを少しは買うから、どうしてもこれらの「備蓄」は余りがちになる。朝が忙しくて、きちんと目論見通りの活用ができないこともある。
水曜日を過ぎると、食材の消費について目処が立ってくる。これは木曜日に食べ終えて、これは冷凍して後日活用、といったふうに。
そういう時に、消費期限間際のもの、たぶん週末までに食べきらないものを使った料理をする。
なにしろ材料が計画から外れたものばかりだから、料理だって良く言えば柔軟な、悪く言えばいきあたりばったりのものになってしまう。
一人暮らしの自炊でありがちな、「名前のない料理」だ。
そんな雑な料理群のなかにも、きちんと名前がついた品はある。
今日作った「探検隊のスープ」がそれだ。
名前は立派だが、由来からして雑な料理。
遠くに住む友人夫婦から教えてもらった。
彼らは、昔からキャンプやバーベキューが好きだ。今は子供を連れてあちこちに出かけている。
彼ら家族のローカル(というかファミリー)メニューが「探検隊のスープ」だ。
キャンプの後半、最後の夜にこのスープを作る。
持参した、あるいは現地で買い込んだ食材を綺麗さっぱり片付けるために、大きな鍋にソーセージも芋もキノコも大根も入れて煮てしまう。味付けは塩コショウと少しのカレー粉、あればバジルなどのハーブ。
そして夕食に食べ、残りは翌朝にもパンと共に食べる。
彼らにとって、帰りの荷物を減らす事は、キャンプにおいて非常に重要な事なのだ。でも「在庫処理スープ」とは名付けないところが素晴らしい。自分だったら…と考えると「消化」「残飯」「撤退戦」「リサイクル」のような残念な言葉しか思いつかない。
「探検隊が持参した食材をかき集めて作るスープ。食事の準備は輪番制で、とびきりの料理上手でも下手でもない隊員が当番の時にこれを作る。でも、なにしろ探検隊だから味にうるさい奴もいない。食べられるものが山ほど入っていれば満足なのだ」といったストーリーが付属していた。
おそらくは児童文学か絵本が由来ではないか。本の好きな家族だったし、そういう物語めいたものも大好きだった。
江國香織や小川洋子のエッセイに出てきそう。
思えばあの夫婦にはアウトドア料理の諸々を教わった気がする。
といっても簡単なことばかり。
例えば「バーベキューに焼肉のタレを持ち込むな。日常の味になるし、焦げやすいし、何よりも洗い物が大変だ」といった言葉は実に役立つ。キャンプをめったにしなくなった今でも、日常生活で役に立っている。
とにかく今日はそんなスープを作った。
先ほどお風呂の前に作って、いま真空保温中。明日の朝に食べる。
南米旅行中に食べた煮込みの味を思い出してハーブと塩で味付け。
量的には食事のメインになるので塩は控えめ。
にんじんと玉ねぎは生のものを刻んで炒めた。刻めるものはさいの目にすると、料理の体裁は少しだけ整うと思う。
今回はそれほどではないけれど、場合によってはこのスープ自体が冷蔵庫に残る時がある。まあ同じものを食べ続けることは苦にならないし、温めるだけのものが1品あるとそれだけで帰宅してからが楽だから、それほど気にしていない。
ところで今日のお弁当はこんな感じだった。
空芯菜は好きでよく買うのだけれど、近所のスーパーマーケットにある香川産は、ちょっと質が悪い。葉がしおれているのではなくて、腐敗したような溶けたような状態になっている事がある。他の野菜なら半額のシールが貼られている状況だ。
元より柔らかい葉野菜だから、そういうものなのかもしれない。小松菜や青梗菜に比べて、その点だけが使いにくい。
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