上等なうどん、鶏天とチク天。

Macにインストールしている天気予報アプリはレスポンスが良すぎる。ちょっと予報に変化があると、すぐに通知をしてくる。

それだけなら煩いだけだ。
でも、ずっと晴だった予報を、ぽつりと雨が降り始めた瞬間に書き換えるのはどういうわけか。それは現状を伝えているだけではないのか。

窓の外を見て晴れていることを目視し、この予報アプリもチェックして日中の推移(12時間は晴れが続く)も確認したのに、家を出る瞬間に通知が表示される*1。「ぴこーん、雨ですよ」と。今言うなよー、と思う。もう少し独り暮らしに馴染んできたらiMacに声をかけているかもしれない。

Echo Showには声をかけるが、親しみはまだ感じない。今日は「明後日の静岡市の天気を教えて」と聞いてみたが「どういたしまして」と返答された。サラ・コナーさん*2なら銃弾を撃ち込んでいるところだ。 

 

 

基本的には快晴、でもほんの少し不安定な暑い日だった。
明日は帰省する予定で、そうなると猛烈な「片付け欲」が沸いてくる。旅の前夜に部屋の掃除をする人間なのだ、僕は。

そんな頑張った自分を労うために、ちょっといい讃岐うどんの店に行ってきた。
以前書いたように、退職時に数多くの「讃岐うどん店リスト」を教えていただいた。小屋みたいな店から、他県の「手打ち蕎麦屋」のような民芸風というかきちんとした和風の店まで多種多様。どんな希望にも対応できるラインナップとなっております。

 

さぬきうどん全店制覇攻略本2019-20年版

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というわけで今日のお店は「まつばら」。
屋根の高い新しい店内は、明るくて綺麗。

平均の9割程度の太さの、しゃきっとしたうどんと、地鶏を使った“鶏天”がこの店の売りらしい。他にカレーうどんが数種類用意されている。季節変わりのメニューを注文している人も多い。

僕は「鶏天 ざるうどん(小)」を注文した。
いいうどんだ。つるつるして品がある。甘めの汁に薬味が合う。
鶏天の質も素晴らしい。その辺の讃岐うどん屋で食べる鶏天は安物なのだな、と納得されられてしまう*3

 

三体

三体

 

 

この店は、着席して注文して食後にレジで支払いをする。
いわゆるセルフ式のお店ではない。
天ぷらも、盛り合わせ(300円くらい)を別に注文できる。野菜天やキノコ天の盛り合わせ、注文すればよかった。

鶏天のざるうどんが700円程度。「その辺の安い店」に比べると高い。でも十分に納得できる味と質だった。静岡の手打ち蕎麦屋なら900円は取れる、東京なら1400円の食べ物だと思う。

 

 

 

ちょっと平均より高価で、当然ながら質が良くて、鶏天とうどんのセットがメニューの核になっているタイプの店が高松市にはいくつかある*4。暖簾分けなのか、定番の戦略なのかは知らない。
高級チク天(ちくわの天ぷら)を真ん中に据えた店があっても面白いと思うのだが。

この店にもチク天があった。
1本の注文と、2本の注文ができる。
かなりメニューが厳選された、バラ売りの少ない店なのに、チク天は外せない。そして何人かが、実際に注文していた。

 

香川の人はチク天が大好きなのだ。
今の季節、夕方に海へ行くと、浜でチク天を獲る人達が沢山いる。新鮮なものはぬめりがあって磯の香りが強い。年配の人はその風味を珍重するという。採れたてをすぐに毒抜きし、夕餉の1品に、あるいは酒の肴にする。
一晩置いて余計な水分を抜くと、他県の人達がイメージするチク天の雰囲気になる。うどん店に並ぶのはこの状態。
僕は少しかりっと乾かしたほうが好きだ。

こうして浜で採れたものは、養殖物とは比べものにならないくらいに美味しい。
共生している藻が青海苔のような風味を持つ*5ものが“上物”とされる。

この「ちく天獲り」を初めて見た時はびっくりした。こんな風習、Wikipediaにもガイドブックにも載っていない。
でも、でもなかなか趣きがある光景だ。いかにも瀬戸内らしい明るい色の砂浜に集まる女性達*6、不思議な形をした「チク天棒」を波打ち際に差し入れる時の唄うような掛け声。バケツごとびったんびったん動くチクワ天に驚く幼子。遠くには島々が連なり、その向こうに沈む夕日。
「面白い土地だなあ」と思う。ぼんやりと眺めてしまう。
そしてカメラの存在を思い出す頃にはもう暗くなってしまっている。だからまだ満足できる写真が1枚も撮れていない。

 

海獣の子供 (1) (IKKI COMIX)

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さて明日の帰省について、台風の恐れがあるために延期を決定した。
土日に東海地方が大雨になった場合、目的を果たせない場合があるので。車、かつ1人での帰省だから気楽なものだ。

 

リトル・フォレスト 夏・秋
 

お題「ひとりの時間の過ごし方」

 

お題「もう一度行きたい場所」

お題「今日の出来事」

 

 

*1:iMacは基本的に電源を入れっぱなし。

*2:ターミネーター・シリーズのヒロイン。いつも疲れている。

*3:セルフ式のお店だと100〜120円/個である。安物というか、値段相応なのだ。でも鶏天は他の天ぷらに比べてプレミアム感がある、と思う。

*4:以前行った「はりや」は確かに名店だったが、店員さんの雰囲気が怖かった。店全体がぴりぴりしている。今日の「まつばら」は、明るい雰囲気のお姉さん達がにこやかに対応してくれる。

*5:カレーっぽい香りがする亜種もいる。

*6:男性は少ない。僕のような暇人か、老人しかいない。

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