夜にライブへ行く予定があって、それを基準に1日を過ごしていた。
つまり、中心街に行く用事は夕方以降に回し、午前と午後は家事に専念、万が一の来客に備え*1部屋の片付けを念入りに行い、放置していた本の整理なども済ませた。
しかしライブは来週末の夜だった。
完全に、自分の勘違いだ。カレンダーに登録する際に操作を間違えていた。
家事の類はずいぶんと片付いたので損をした訳ではない。むしろ、一日の終わり頃を基点として過ごしたことで、充実していたと言える。
でもなんだか自分がばかみたいだ。
こういう日は、自分を慰めなければならない。
つまり、ちょっと美味しいものを食べたい。
でも冷蔵庫にもお菓子ボックスにも碌なものが入っていない。
なので食材庫の奥から「えびせんべい」を引っ張り出して、自分で作ってみた。
中華料理店やベトナム料理店で付け合わせ的に出てくることがある、海老風味の揚げた煎餅。ふわっとしてボリュームがある。
これの“素”というか、揚げる前のものがあるのだ。薄切りにして乾燥させたピンク色の餅、直径は500円玉程度で薄さは約3mm、見た感じはプラスチック板。これを揚げると、ぶわっと膨らむ。春雨を揚げるのと同じで、あっという間に出来上がる。
以前は横浜中華街に行く時に買っていたが、最近は「カルディコーヒーファーム」や「業務スーパー」で手に入る。特に業務スーパーでは格安(100円か200円くらい)で売られていてありがたい。一箱で大量に出来るので、大箱では買いたくはないのだ。それに業務スーパーのものは、いかにも輸入品で箱がかわいい。
自分はこれを電子レンジで作る。
中国語の説明でも電子レンジで作れる旨、書いてあった。
ただし油で揚げるよりも、少し神経を使う。
加熱ムラが仕上がりにそのまま影響する。膨らみ始めると数秒で出来上がるが、そのまま加熱を続けると突然に焦げはじめる。
低い出力で長く温めてもなかなか膨らまず、かちかちになってしまう。高出力で一気呵成、がコツといえるかもしれない。
多くの電子レンジ調理(監視が必要なもの)と同じく、機種による個性を見極める必要がある。
忙しい人専用 「つくりおき食堂」の超簡単レシピ (扶桑社ムック)
- 作者: 若菜まりえ
- 出版社/メーカー: 扶桑社
- 発売日: 2018/05/17
- メディア: ムック
- この商品を含むブログ (1件) を見る
自分の場合は900Wで1分程度だろうか。
できるだけ重ならないようにしているが、効果の程はわからない。揚げ煎餅やおかきの類は、霧吹きで湿らせてから加熱する方法もあると聞くが、試してみたところ変化は無かった。
1回目は端が完全に膨らまず、2回目は数枚が焦げ、3回目からは失敗なく作れるようになった。
停止ボタンに指を置いたまま監視、しかし頻繁に止めると膨らまないので勇気を持って見守るのが電子レンジ調理のコツと言える、かもしれない。
油を使わないので、手は汚れない。
ただし風味には欠ける。というか、海老の殻の匂い、甲殻類を加熱した香りが強いので、苦手な人は油を使ったほうが良いかもしれない。
自分はこのあっさりした味気無さ、そして防波堤を思わせる匂いも含め、電子レンジで作ったほうが好きだ。
ほんのりと「ディストピア飯」な雰囲気もある*2。
- 作者: ジョージ・オーウェル,高橋和久
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2009/07/18
- メディア: ペーパーバック
- 購入: 38人 クリック: 329回
- この商品を含むブログ (350件) を見る
作って、食べてから思ったのだが、これは自分を慰めるに足る美味しい食べ物なのだろうか。むしろ海老煎餅のために淹れた中国茶のほうが豊かな気持ちになれた。
ホットケーキでも焼いたほうが絶対に幸せになれただろう。
仕方がない。
今日は全体的に“そういう日”だったのだ。ボタンを掛け間違えたような日ではあったが、怪我もせず無駄遣いもせず、部屋は片付き自転車のメンテナンスも終えることができた。
静かで孤独で、しかも海老くさい日曜日。それで良かったのだ。たぶん。
アステリズムに花束を 百合SFアンソロジー (ハヤカワ文庫JA)
- 作者: S‐Fマガジン編集部
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2019/06/20
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログを見る