屋根裏からアイゼンが見つかる

四国に住んでから、風邪や気管支炎に頻繁に罹るようになった。
原因を考えるときりがないが、先日アパートの管理会社の人と偶然会って、その話をしてみたら、エアコンと空調配管のクリーニングを斡旋してくれることに。有難いことに、初期不良扱いで無料みたいな価格にしてくれた。この担当者さんは部屋選びからアフターケアまで本当に気を利かせてくれる。単なる親切ではなくて、実際的で、かつ無理の無い範囲での「管理会社にできること」を提案してくれるのだ。

 

今日の午前中はその工事のため、部屋にいなければならない。
手持ち無沙汰なので、僕は風呂場の換気扇周辺を清掃することにした。

風呂はいわゆるユニットバスの構造。トイレは別室だが、風呂と洗面台がひとつのユニットに収まっている。継ぎ目の無いプラスチックのユニットの天井に換気扇と、メンテナンス用のハッチがある。

脚立を使ってこのハッチからユニットの上側に手を伸ばし、換気扇を取り外す。作業は簡単。マニュアルだってダウンロードできた。たぶん素人でも簡単なメンテナンスができるように設計してあるのだろう。

作業の途中で、換気扇の反対側に何か複雑な形の物体があることに気づいた。ナイロンの袋に入った、金属の工具みたいなもの。

引っ張り出してみたら、古い軽アイゼンだった。
登山の時に雪渓や凍結路で使う、鉄の爪。バンドで靴にセットして歩くと、爪が滑り止めになるのだ。
それほど本格的なものではない。春や夏の登山の際に、念の為に持って行くくらいの簡易的な品だろう。

名前が書いてあった。たぶん、以前の住人が、このメンテナンスハッチの部分を物入れに使用していたのだろう。そして、忘れたまま引っ越してしまった。

エアコンのクリーニング終了後に、アパートの管理会社と連絡をした際に、この忘れ物についても報告しておいた。夕方に上述の担当者さんが取りに来てくれて、明日に持ち主に送る算段を取るという。自分と入れ替わりに引っ越した人なので、十中八九連絡が取れるのだと言っていた。

とりあえず、登山道具で良かった。
友人のアパートでは、それはもう他人には言えないような変なもの(性的に倒錯した趣味の書籍)が見つかったと聞いた。
この日記を読んでいる人達も、お風呂がユニットバス構造だったら、たまにはハッチを開けて、懐中電灯で周囲を照らすと良いかもしれない。思いもがけない何かが見つかるかもしれない。

 

ちなみにエアコンと空調配管はそれなりに汚れてはいたが、不具合は特に発見されなかった。ただし配管出口のカバーがずれていて、通路の音をよく拾う向きになっていたらしい。ちょっと動かすだけなのでサービスで修繕してくれた。そういえば、やけに外での立ち話が部屋に洩れ聞こえるのだった。窓際よりも声が聞こえる事もあったので、少しでも良くなれば良いのだが。

 

しかし長く生きていれば色々なことが起こる。まさか四国のアパートでアイゼンを見つけるとは思わなかった。夢でも違和感を抱くような唐突さだ。

 

エバニュー(EVERNEW) 4本爪アイゼン EBY012

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