久しぶりに、行列のできる讃岐うどんのお店に行った。
讃岐うどんの土地に住んで気づいたこと。うどんは、基本的に美味しい。他の安い麺類のお店、例えばラーメン屋に比べて当たり外れが少ないと思う。「脂が多くて気持ち悪くなった」とか「にんにくがきつくて…」といった、店による個性が少ないのが理由だと思う。コシの強さや出汁の味は千差万別だけれど、個人的な好みを考慮しても、想定内の“讃岐うどん味”となっている。美味しい店は感心するほどの味だが、この店はもう二度と行かない、とまで思える体験は、少なくとも味に関しては今のところ無い*1。
同僚や知人も、だいたいそんなスタンスのようだ。多くの讃岐人が「自薦うどん店」を5つ以上挙げるが、それは好みに合わせた(つまり出汁の風味や麺の固さが好みか否か)店のリストである。あるいは店のタイプ(固めの麺が好きならこの店)といったリストとなっている。
そんな地元民それぞれが抱えるリストとは別に、ガイドブック的なものの有名店も当然ながら存在する。地元民だってレジャー的に「人気のお店にわざわざ行く」ことがあるのだ。
今日はその代表的なお店、「麦蔵」に行ってみた。
というか通院の後にそのまま散歩がてら行ける場所にあったので、お昼をそこで済ませたのだった。
いつも前を通る時に行列ができていたので気にはなっていたお店。
今日は10分と少し、外で待たされた。
なにしろうどんである。皆、食べるのが早い。だから待ち時間は意外と短い。
この店は、街中にある「セルフサービス式讃岐うどん店」とは少し違う。食券で注文し、席について待つ。天ぷらやおでん、稲荷寿司を選ぶカウンターは無い。店構えは庶民的な狭い店だが、形式としては他券の「蕎麦専門店」に近い。
インターネットのレビューでは店員の態度が最悪と書かれていた。
自分の見た限り、厨房側の人達は確かに愛想が悪い。観光地の有名店でお客をさばくおばさんとお婆さんを思い出させる接客。でも、客席の間で食券を受け取り席の案内をするおじさんは、とても親切だった。
サイドメニューを自分で選べないこの店では、天ぷらなどがセットになった品が基本となる。多くの人が注文する「鶏天ざるうどん(小)」を食べてみた。
なるほど美味しい。麺はつるつるして、とてもコシが強い。讃岐うどんとしては珍しいくらい長い。
鶏の天ぷらは、衣が軽くて揚げたてで、鶏肉は柔らかい。
普段は注文しないざるうどん、この滑らかでコシがあるうどんなら、最適の選択だろう。人気も納得である。
他の人が注文していた天ぷら(海老や野菜)と組み合わせた冷たいうどんも美味しそうだった。
ファストフード的な店と、観光客や家族向け会食用の店しか知らない自分にとっては、ちょっと面白い体験だった。
またすぐに行きたいか、というと即答できないが、「良いお店の引き出し」がひとつ充実した事は確かだ。
行列さえ無ければ、また行くかもしれない。
首都圏&讃岐のうどんの名店150―最強のUDONツアーズ! 今食べられるもっとも旨い店セレクション
- 作者: はんつ遠藤
- 出版社/メーカー: 駿河台出版社
- 発売日: 2006/08/01
- メディア: 単行本
- クリック: 7回
- この商品を含むブログ (6件) を見る
*1:雰囲気や接客の問題で、近所でも行かないお店はある。