唐突に旅の記録を書く。どんどん忘れてしまうので。
感想は自分の心の中で寝かせ、友人知人への土産話で広める。
ここでは道具についての記録を公開しようと思う。
エクアドル本土、グアヤキルの宿はしっかりとしたホテルだった。
日本だったらこんなに良い部屋には泊まれない、というところ。超高級ホテルではなくて、自分がいつも使う日本での宿が貧相だからよりそう思うのだろう。
とにかく綺麗で広く、周囲には観光客向けのレストランも多い。
でも海外のホテルだからスリッパもパジャマもない。バスローブは大きく重い。
言葉(スペイン語)がさっぱりわからないためサービスを受けづらい、という僕の側の事情もある。冷蔵庫の品物は、価格はわかるが支払い方法はよくわからない。だから冷蔵庫の中身には手をつけなかった。今回の旅は、そういう不自由さが最初から最後までついて回った。
ガラパゴス諸島で3泊したホテルは、当地としては普通らしいが、なんとなく「途上国の安宿」っぽさがあった。
古びたリゾートホテルで、シックでもないしリッチでもない。スタッフは親切で居心地は良かったが、潔癖な人は「うっ」となりそうなところも少なからずあった。どこか「清里のペンション」っぽい軽薄なつくり。
残念ながら、びしっと隅々まで綺麗で安心、というホテルではなかった。例えばシャワーは真水ではなかった。うっすら塩気がある。
これは離島という立地も原因のひとつ。どう頑張っても普通ランクの宿では真水が手に入れられない。
慢性的に水不足で、飲み水は大陸から運んでくる。水は基本的に買う土地なのだ*1。
だからシャワーの水などは海水から作っている。
お湯がなかなか出ない宿は香川県の小豆島で宿泊したことがあるけれど、うっすらしょっぱいシャワーは人生初。べたつかないけれど、なんとなくさっぱりしない。
さっぱり、といえば「夜は霧雨、朝から午前中は曇り」という季節だったせいで洗濯物が乾きづらい。11月は雨期の始まり、大雨ではなく雲と霧に覆われるのがガラパゴスの雨期とのこと。
島の反対側はからっとした砂漠なのに、宿のある街はしっとりしている。つくづく不思議な土地だ。
夜に洗濯して干して寝ても、翌朝に全然乾いていない。厚手のウール製靴下はドライヤーの助けが必要だった*2。
「ホテル→空気が乾燥」という今までの認識が覆された宿でもあった。
ある程度のことは予想ができていた。
ガラパゴス諸島のガイドブックは少ないし、Webサイトやブログも多いとはいえない。しかしまあ、調べればわかることも多いし、元からキャンプや登山に対応した服や道具を基本にしていたから、どうしようもなく困ることは無かった。おおよそ、準備していたものを過不足無く使いこなし、健康かつ快適に帰国できた。
では個別の道具を書き出していく。
■インスタントコーヒー(デカフェ)
街のあちこちにカフェがあるけれど、夜に少し温かいものが飲みたくなって…という時にスティックタイプのインスタントコーヒーがあると便利。
とはいえ、ガラパゴスのホテルでは部屋でお湯を沸かす手段が無い。フロントに言えばすぐに沸かしてくれたけれど、そこまでして欲しいものではなかった。まあ、荷物にもならないので、いつもどんな旅でも数本は持っていく。
■白いマスキングテープ
いわゆるマステ。
ちょっとしたラベリングに使う。出発準備の際は機内持ち込みの液体容器に内容物を書き込むのに使った。
旅先では付箋代わりに使う。
勝手には剥がれないが剥がすのは簡単。糊残りも無い。
ボールペンや油性ペンで書き込める。
もちろんちょっとした固定にも使える。
シャワールームがなんとなく下水臭い、そんな時は排水口をテープとビニールで塞いでしまうと良い。これは誰かの旅行記で知った知識で、今回はこのマステで実行した。
■小物トレイ
出張道具でもあるトレイをこの旅でも持参した。
レザークラフト趣味の一環で自作したもの。
本来はイベント用の「カルトン」として作った。
四隅に2つずつホックを付けたぺらっとした革。このホックを使うと、革が薄い皿型になる。
ポケットの中身、鍵とか腕時計をとりあえず置いておくのに使う。翌日、小さな携行品を探す手間が省ける。
どちらかといえば国内出張のほうが役に立つ道具だが、習慣として持ち歩いている。普通に小さなトレイとか、紙の薄い箱でも良いと思う。
■殺虫スプレー
夏に使っていた「一吹きで部屋全体を8時間殺虫」みたいなスプレーを持っていった。
もし虫がたくさんいる季節だったら困るので。
実際、ガラパゴス諸島は虫が少なかった。が、これで一応の安心は得られる。
普通の虫除けスプレーや虫除けリングも持っていった。場所によってはブヨがいると言うので用心のため。効いたかどうかはわからない。
でも沙漠みたいなところや砂浜では小バエが寄ってきていたから、虫の対策は絶対に必要。腫れ対策に抗ヒスタミン剤も持参した。
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■速乾タオル
身体を拭くのは当然として、ホテルでは洗濯物を包んでぎゅっと絞ることで簡易脱水機として使える。
帰路には緩衝材として活用した。ちなみに今は独り暮らしの道具として便利に使っている。
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■コンパクトカメラ
ちょっと良いコンパクトカメラがあるととても便利。
ガラパゴス諸島のルールとして「野生動物の2m以内に近づいてはならない」とある。つまり2mまでは平気で近寄ることができるのだ。
たまーにこの「2mルール」を守らない人がいる。基本的に注意される。動きが遅く目も悪いゾウガメが生活道路に出てきている時だけ、ガイドさんの“お目こぼし”がある。
野生動物と並んで記念撮影はできないが、ちょっと驚く距離でイグアナやオットセイやゾウガメに対峙できる。しかも全然、怖がらない。
そしてこの距離だと、少しでもズーム機能があるカメラで迫力がある写真が撮れる。
スマートフォンでは、こうはいかない。
日差しが強いため、スマホの液晶が日中は見づらい。ファインダーがあると素晴らしい。ファインダーが無くともカメラの液晶はスマホより(外では)よく見える。
スマホを撮影用途から外すことで、貴重な通信端末をカバンから出す回数を減らす、そんな目的もあった。
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画質はそれほど求めないので光学ズームが便利なこちらを持っていった。RX100は良いカメラだが今回は使わない。
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■サコッシュ
街歩きに活用。財布とカメラとスマホと、パスポートのコピー、ハンカチとティッシュとウエットティッシュを入れて持ち歩く。
グアヤキルは治安が悪いところも多いが、ガラパゴス諸島は日本並みに安全で、パスポートも持ち歩く必要が無いと言われた。ホテルに放置していても大丈夫らしい。
リップストップナイロン製で軽いものを出発前に急遽入手した。
■無印良品の荷物かけリング
普段はリング状で、使うときはS字フックになる小さなプラスチックの道具。
あればとても便利。バッグにとりあえず付けていく。
2回ほど「それは電子的なセキュリティグッズか?」と知らない人から問われたので、何かしらのハッタリにもなっていたと思う。
空港でテーブルにひっかける、別のバッグを繋いでおく、といった活用をする。
ちなみにフィンチは本当に人を怖がらない。小鳥らしく近寄れば逃げるが、ぼうっとしていると肩に乗ったりもする。
■タイペックシート
薄くて丈夫な防水シート。本来は建築資材。自分は無地のものをアマゾンで買った(工作に使った)。
適当なサイズに切って、畳んで持っていった。
床にものを広げたい時に使う。ホテルでは大きなベッドが2つ並んでいたが、こういうものは当地で探しても無いので。
普通の人はゴミ捨て用のビニール袋で良いと思う。仕出し弁当を包むビニール風呂敷でも。
これも、スーツケースを使う旅ではとりあえず持参する品。
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■お菓子
旅慣れた友人からのアドバイスで、小袋入りの菓子を買っていった。
5つ連なった、本来はちびっ子向けの品。クッピーラムネにした。
宿のフロントで雑談(雑な筆談)をしながらひとつ勧めてみたり、ベッドメイクのチップに添えたり。
それから疲れた時には自分で消費した。ラムネは当地には無いらしい。
結果的に余ってしまった。
グアヤキルの日本人ガイドさんにあげれば良かった。
ガイドさん、といえばグアヤキルでお世話になった人が本当に親切で、もし次にまたエクアドルを旅することがあれば、指名してお願いしたいくらい。若いのに気配りが行き届いていて、話の内容も面白い。ルート選びから説明まで、全てに何かしらの工夫と意思が込められている。こういう人はなかなかいない。
すももさん、という名だった。ちなみに運転手のペドロさんも親切でした。
自分は「かもめツアー」という会社で、この旅を手配した。すももさんはこの会社の所属ではないけれど、グアヤキルやキトを観光するにあたり名前を出せばたぶん通じるのではないだろうか。当地にそれほど若い日本人ガイドがいるとも思えない。
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ガラパゴスの宿ではフロントのおっさんが面白かった。
1日目には英語もおぼつかない感じだったのに、2日目の朝には「オハヨウゴザイマース」って日本語で。
その後、ちょっとした待ち時間にお互いの言葉を教え合うなどして楽しんだ。
無料のパンフレットやガイドマップを何冊か貰って、それはいまトイレの壁に貼ってある。時々見ては思い出す。廊下に旅人が置いていった本のコーナーがあったから、持参した小説を寄贈。フロント氏(たぶんオーナー)には日本で買ったガイドブックを譲った。
さすがにもう荷物は片付いたが、それでも「旅の道具」の引き出しには、ほとんどそのままのポーチや小袋がしまってある。なにしろ人生で最も遠くへ行った旅だ。荷も多かったし、洗面用具ひとつとっても吟味して詰めていった。そのまま次の旅に使えるものも多いのだ。一人暮らしの日常で活用している品さえある。
さて次は、どこに行こうか。
高松の商店街を歩いていると、「上海まで5000円」といった高松空港と航空会社の横断幕があって、じゃあ次は中国か台湾か韓国かなあ、と妄想している。その前に四国をくまなく探検しなければ、なのだけれど。
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