本の海に還す

ああ今日も無為に過ごしてしまった、と後悔したのが夕食前。
えいやっと頑張って、先ほどから不要な本を整理している。

ベッド下に3つの引き出しがあって、そのうち2つが本と漫画置き場。
今回はそれを1つにした。
本の置き場所は部屋のあちこちに分散していて、そちらもかなり減らしてみた。

特に文庫本で買っていたシリーズ物の小説はまとめて処分することに。かなり幅をとるので、減量効果は大きい。
完結していないから、Amazon電子書籍で揃えようと価格を見たら全部で8000円くらいかかる。しばらく考えた後、まとめ買いではなくて、読みたくなったら買うことに方針転換した。今までだって新刊の発売前に拾い読みしていただけだから(つまり書棚の肥やし)、急いでぜんぶ揃えることもないのだ。

 

 

でも物理的なサイズ制限が無い電子書籍こそ、「とりあえず、いつか読む日のために買う」ことが容易なのだ。今回は金額にびっくりして躊躇したけれど(いつかセールも行われるだろう、という目論見もある)読みたい本をささっと買うには便利な時代になった。Kindleとその端末やアプリが、現実の書棚同様の一覧性を持つようになったら素晴らしいのだけれど。

 

新版 谷根千ちいさなお店散歩

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今回は、売り払う本とは別に、友人知人に譲る本を分けてある。
引っ越し前提の整理だから「お気に入りの本」も手放すつもりだ。この本はあの人に紹介したなあ、などと考えながら仕分けしている。

本好きの友人は「古本屋に売る」ことを「本の海に還す」と表現する。ゴミにならなければ、いつかまた会える時がくる、そのための古書店なのだと言っていた。
実際に自分も何度か、古本屋で買い直したことがある。だから、いくつかの本はブックオフではなくて街の古書店に売る*1

 

 

そういえば先ほど整理をしていて思い出したのだった。
中学生の頃に、寂れた公園によく漫画が捨てられていた。
ニュータウンの空いた区画に東屋とベンチがある程度の“語らいの広場”みたいな場所。かつては花壇もあったのだろうが今は雑草に覆われている。中途半端な広さと場所で、人はあまり立ち寄らない、そんな公園。

そこのベンチやテーブルに、ちょっとマニアックな漫画本が積まれていることがあった。マニアックといっても「漫画好きな高校生や大学生が買っていそうなコミック」のレベルだけれど、田舎の小学生や中学生にとってはあれが“サブカルっぽいもの”の入り口だった。
コミック以外は海外SF小説や“洋楽”のCDもあった。

今思うと、あの積み本はどこかの漫画好き青年が、捨てるのも買い叩かれるのも嫌で、そして我々子供への影響を目論んで「放流」していたのではないか。

気に入って持ち続けていた本、特に漫画は安く買い叩かれる傾向にある。ブックオフ(田舎なので古書店が無いのです)ならなおさら。ならば、あちこちにばらまいて、その素晴らしさを世間に浸透させたい、そういう思想に陥っても不思議ではない。

 

Blue (Feelコミックス)

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自分はそういう事はしない。性格的に、不特定多数の誰かにアピールするのが苦手なのだ。でも気持ちとしてはわかる。市立図書館に寄贈するようなものだ。

推測に共感しても仕方がない。
でも「これ、いい本だよなあ。でもゴミ扱いされちゃうんだよなあ。しかし片付けなきゃなあ」という本は確かに存在する。
あの頃は特に不思議とも思わず「なぜかあそこには変な漫画が置いてある。家に持ち帰るような面白い本ではないけれど、なんだかとても変わったものばかり。どこで売っているのだろう?」程度の認識で接していた。
大学生になり大人になり、そういう“ちょっとだけマニアックな本”とは個人経営のカフェ*2で出会うことになるのだが、それはまた別の話。

 

AKIRA 全6巻完結セット(KCデラックス)

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夕方から今まで頑張って、今日はずいぶんと部屋が片付いた。
これなら、昨日から、いや今朝から手を動かしていれば、あらゆる懸案事項を進めることができたのではないか。
まあいいや、明日は仕事を程々にして夜にがんばろう。数時間でここまでできたのだから、きっと大丈夫。

 

狭くても、料理が楽しい 台所のつくり方

狭くても、料理が楽しい 台所のつくり方

 

お題「今日の出来事」

 

*1:ブックオフが悪い訳ではないのだけれど、いつか手元に戻ってくる可能性を考えると馴染みの古書店が目的に適う。それに、良い本への値付けもいい。

*2:大友克洋魚喃キリコの漫画や星の王子さま、インディアンの写真集でサブカル風味を醸し出すカフェがあちこちにあった時代でした。

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