目的地は山梨の忍野八海周辺散策と、「湧水の里水族館(森の中の水族館)」。
往路は富士山の西側、富士市から朝霧高原を抜けて富士五湖から富士吉田町へ、忍野の後は御殿場へ、そして三島市と函南、最後に沼津と、全体としては富士山をぐるっと時計回りしてきたことになる。
移動時間が多い、車の運転が好きではない身としては普段なら避けたい行程ではある。
しかし紅葉が美しく、平日で道路も空いていて、そしてなんとなく走っていてもまず迷わないし目論見通りの時間で移動できる*1ため、運転に関してはストレスのほとんど無い小旅行ができた。節約のために、高速道路は朝夕の渋滞を避けるためだけに使って、朝に出発して夕方には家に戻れた。まあ、順調だったと言える。
朝食はお味噌汁だけにして、少し早めに出発。
富士吉田の名物「吉田うどん」を朝に食べられるお店を目指す。
到着してから適当に探し、なんとなくで決めた「べんけい」に入る。
狭い通りにある、小さなお店。おはぎや団子といったカジュアルな和菓子も置いていて、一緒に注文できる。ここのうどんは、吉田うどんにしては柔らかめか。無闇に硬くしないのは好感が持てる。
それなりに具沢山で、麺も太い。例えば讃岐うどんのように、小サイズであちこちを食べ歩き、というわけにはいかない。
こぢんまりとして、親切で、しかも美味しい。良いお店だった。
今日の主目的である水族館「湧水の里水族館(森の中の水族館)」には昼前に到着した。
この施設の横にある水産技術センターには、学生の時に何度も行っている。センターにあった一般向けの池が強化された程度の、つまり治水事業や親水公園に付属する小さな水槽付きPR施設のようなものかな、と想像していたのだが、その予想は良い意味で裏切られた。
つまり、とても素晴らしい、きちんと見応えがある水族館だ。
施設としてはさほど大きくはない。でも、見せ方に気配りが行き届いていて、水が綺麗で(なにしろ湧水の里だ)、しかも外の公園も美しい。
メインの回遊水槽にはびっくりした。
鮭や鱒の類がたくさん泳いでいる。流速が調整してあるのか、どの個体も同じ方向を向いて(流れに逆らって)いるのに、見ている側からはほとんど位置が動かない。だから、目移りしないで、ゆったり観察できる。
しかも大きな個体が目の前に、そして遠くに小さな個体が群れを成している。
水がとても綺麗なこともあって、すごく奥行きのある水槽だった。
この回遊水槽はドーナツ型で、外から中から、下側から、そして上からも観察できる。
上から見たら、この奥行き感の正体がわかった。
2重の構造になっていて、個体サイズ(種類?)で外と内に分けられていたのだった。
こういう展示方法は、他では見た記憶が無い。全体としてはこぢんまりしている水族館だが、そしてこの回遊水槽だって巨大とは言えないのだが、きちんと見応えを作り上げているのは素晴らしい。
外に展開する池も、鮭や鱒やチョウザメを水中から(側面から)見ることができて楽しい。今日は天気も良くて、明るい木漏れ日と、綺麗な水の相乗効果でことさら美しかった。
カエルも昆虫も、もちろん他の魚達も、きちんと観察できる。大きな水族館でも、ガラスが汚れていて、しかも生き物が奥の配管と岩に隠れていて…なんて事があるので、これも素晴らしい。
せっかくだからと、付属する公園も散策して、満喫して施設を後にした。
忍野八海に関しては、お年寄りのツアー客と、アジアからのお客さんが多かった、くらいの印象しか残っていない。
自転車での探検は良かった。
細い道を辿ると、あちこちで綺麗な水の流れる水路がある。昔から田舎で、昔から鄙びた感じを売りにした観光地で、しかも農村。他に似ているところを知らない土地と風景だった。
この忍野という土地、昔から小さな製麺所みたいなお店で、蕎麦や饂飩の生麺を買うことができる。面白いのが、1食くらいは試食させてくれること。きちんとお腹いっぱい食べさせてくれる試食は、珍しいと思う。今日は試食を断ったところ、3人前の饂飩を買った時に、もう1玉おまけしてくれた。しかも2人前で3人分だという。よくわからないが、つまり量が多く、お得なのだ。吉田の太いものと違い、細めでつるっとした饂飩。学生時代からの好物。
この忍野の製麺所では、唐辛子やエゴマを混ぜ込んだ味噌も売られている。これも美味しい。
山中湖も自転車でぐるっと回った。が、走りやすい、少し寒い、それくらいの印象しか無い。でも良い観光地だと思う。
車で御殿場へ。
まずプレミアムアウトレットに行ってみた。が、特に何も買わない。このショッピングモールの問題点は、まるでプレミアム感が無いことだと思う。一人で冷静に歩く場所ではない。
御殿場といえば「とらや工房」がある。あの東京の和菓子店「とらや」が山の中に作った、工房と喫茶室。
いつ行ってもいいが、今日は落ち葉が降りしきるなか、ほぼ貸し切り状態で、最高だった。芋饅頭も最中も美味しい。たまにドングリも振ってきて、その時だけがちがちと物騒な音が響く。遠くで自衛隊か米軍の大砲が鳴っていて、でもそれ以外は風の音しかしない。
こういうところで飲むお茶は本当に贅沢。
せっかく静岡県の東側に来たのだから、と伊豆半島まで足を伸ばす。
函南町の「irodori」にて、栗のショートケーキを食べた。
凝ったつくりの古民家風で、でもケーキは濃厚、コーヒーも濃いのが面白い。つい長居してしまう落ち着いたお店。寄り道にしては外れ過ぎの道のりだが、行けて良かった。
その後は、三島の町を散歩して、沼津の海沿いを自転車で探検して、そして帰宅。
平均燃費は26.4km/L、移動距離は200kmと少し。ふと思いついて決行した日帰り旅、下調べも準備もなく、しかし順調。申し分無い。
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*1:距離と平均速度で到着時刻が計算できる土地は珍しい。北海道を旅した時と、長野の田舎に行った時がそうだった。つまり、だだっ広い田舎がそういう土地なのだと思う。