寒くて、雨が降っていて、暗い。
朝から夕方までそんな感じだった。
午前中は家具の改造やパソコン作業、そしてレザークラフトをして過ごした。
午後には友人と会った。帰省したので、駅まで迎えに行ったのだ。
友人の希望で「さわやか」に行く。
最近やけに有名になった、静岡ローカルのファミリーレストラン。
ちょうどナントカフェアを開催中で、まだ早い時刻なのに混雑気味。
「げんこつハンバーグ」という、重さ250gのハンバーグを食べた。
牛が自身の体内にある挽肉塊を眺める、そんな鉄皿の意匠が面白い。静岡県の「県民の誓い」にあるように*1、この土地の人間は「memento mori」が日常に染みこんでいるのだ。ちょっと変わった県民性だとは思うが、子供の頃はそれが当たり前だった。*2
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ハンバーグは美味しいけれど、この「さわやか」の人気は、どうにもむずむずする。正直に言うと、実際以上にその美味しさや良さが底上げされている気がするのだ。
TV番組で取り上げられやすい、そしてネット映えする、といった理由もあるだろう。ほぼ静岡県だけで展開している事も、その理由(品質維持のため自社工場から冷蔵輸送できる範囲に限定している)から好意的に捉えられているし、そのことが「静岡に行った!さわやかで食べてきた!」と“報告”できるイベント性にも繋がる。
それに、他県から遊びに来た時に、少なくとも静岡県中部では、カジュアルに食事ができる“名物料理のお店”というのは、本当に少ないのだ。特に若い人ならば「さわやか」が、ちょうど良い選択肢となる。なにしろ夜の「しずおかおでん」は居酒屋的なお店のものであり(昼間は駄菓子屋か軽食の類)、桜エビや黒はんぺんといった郷土食も、きちんとした料理屋さんかお酒の飲めるお店に行くしか無いし、全体的にご馳走感に欠ける。
そういう決定力に欠ける静岡の食に対して、「さわやか」が上手い具合にニッチを占めたわけだ。
だから「静岡に行ったら食べる価値のある、地元民ならみんな大好きな究極のハンバーグ!」みたいな扱いは、ちょっと“盛りすぎ”だと思ってしまう。ライブを盛り上げるためにつまらない曲でも身体を動かす、そんな感じ。
同様の、熱した鉄板で最終加熱を行うハンバーグならば、他県でも、全国展開しているチェーン店でも食べることができる。
正直なところ「さわやか」だから格別に美味しい、というものでも無い。なにしろハンバーグだから、どれだって普通に美味しい。
というわけで、「さわやか」に関しては、少なくとも県外の友人達には「わざわざ遠出してまで食べるものでもないよ」と伝えている。バラエティ番組に頻出するまで、静岡の人達だって「これがソウルフードだ!」とは誰も言っていなかった。安くてあちこちにある、やや垢抜けないチェーン店、その程度の扱いだった。
名古屋におけるコメダ珈琲に近いかもしれない。
ともあれ「げんこつハンバーグ」は、今日も(普通に)美味しかった。
服が肉の焼けた臭いになった。250gという量は、普段の肉類摂取量からすると多い。なんだか妙に眠い。