昨日の安藤忠雄展について書く。
僕が「かっこいい近代建築、特に美術館や博物館」へ今のような興味を持ったのは、2016年の瀬戸内国際芸術祭だった。
瀬戸内海の直島に滞在し、訪れた美術館が本当に素晴らしかったのだ。
地中美術館、また行きたい。
李禹煥美術館をパスした事は、今だって後悔している。
名前は知っていたし、気付けば大したものだと思っていた程度の安藤忠雄という名前をきちんと意識して、例えば旅の目的にしたり、下調べをして訪れるようになったのは、あの芸術祭がきっかけだった。
興味は他の建築家にも広がり、秋には豊島美術館も訪れることができた。本当に感謝しかない。
その安藤忠雄氏の展覧会が開催中という情報は、東京に行くと決まった時に知った。新美術館が、ちょうど立ち寄れる位置だったこともあり、加えてあの素敵に広い建物が東京散策の良い休憩地点となるという目論見もあり、午後の時間を過ごすことに決めたのだった。
素晴らしい展覧会だった。
展示の多くは、建築模型と図面と写真。それはまあ、当然といえる。解説が丁寧で、ゆっくり読んでいるときりがないほどの分量。
それだけでも楽しかった。
建築模型だから簡素なものばかり。しかし雑誌や本で図や写真を眺めているのとはまるで違う発見がある。
1棟、大阪の有名な教会が外に再現されていた。
現地に行けば誰でも見学できる建物だから有り難みは薄いが、それでも光の加減などが素敵。
残念だったことがふたつ。
まず最初に、課外授業だろうか、高校生が数十人訪れていて、彼らの態度が最悪だったのだ。まず建築の展示ということを理解していないため、まるで現代アートの立体作品(ステンレスのわけのわからないオブジェ)を眺めるように、建築模型を評価する。それなのに、模型の乗った台に手を乗せていたりと、つまり美術館の基本がわかっていない。
こういう催しに連れてくる時は、学校で事前に基本的な知識くらいは教えておいたほうが、みんなが幸せになれると思う。静かにしろ、と客からも教師からも学芸員からも怒られていたが、興味も知識も無ければ、マナーだって上手く守れない。
もうひとつの件もまた、マナーである。
ひとつの大きな部屋がまるごと展示、という場所があった。誰もが入って、写真撮影も可能という特別な部屋(ウッドチップの山で直島が再現されていた)。
そこで、建築デザインの専門学校の臨時同窓会が開催されていたのだ。講師2人と卒業生3人と学生3人が、近況報告から噂話まで、ひたすら立ち話をしている。こう言ってはなんだけれど、邪魔である。プロとその卵だろうに、と思っていたら、最後は学芸員に退出させられていた。
そういえば、びっくりした素敵な出来事があったのだった。
展示を見ながら順路を進んでいたら、大きな空間に人が集まりだした。なるほど映像展示かな、関係者のレクチャーでもあるのかな、と思って(足が疲れていたこともあり)僕も椅子に座ることに。
ぼんやり待っていたら、安藤忠雄氏その御本人が登壇したのだった。
短い講演だったけれど、実に楽しい時間だった。
質疑応答も本職の建築デザイナーから「かっこいい建物探訪趣味の人」まで、他の人が聞いてもためになる事ばかり。
思わず図録を買ってしまった。
分厚いハードカバーで2000円以下、書籍としてもお買い得だと思うけれど、でも図録は買わない派なのだ、普段の僕は。
図録には何種類かの安藤氏が描いたイラストが付属していて、僕は当然、地中美術館の挟まったものを選ぶ。
これまた上手い具合に、買った直後にサイン会が始まり、僕もサインを書いてもらった。「直島、行ったの?」「はい、大好きな場所です」「それはなにより」程度の短い会話もできた。
思いがけず良い出来事もあったので、ついつい長居をしてしまった国立新美術館。アジアの現代アート展みたいなものも、さらっと流しただけだが面白かった。
この美術館、入場料(基本的にそれぞれの展覧会や企画ごとに払う)が不要の公共スペースがとても広い。ミュージアムショップも、小さなものが1階に、そしてやたらと充実したものが地下にある。
簡単なコーヒースタンドからカフェ、レストランも揃っているし、書庫も充実。あちこちにベンチもあるから、何時間だっていられる。
今回ははじめて、用が無ければ行かないような最上階の隅まで探索した。いかにも都会的な、贅沢空間。
昨日書いた「ウエスト」の支店が徒歩数分のところにあるのも素晴らしい。今のところ地下鉄以外のルートを知らないが(乃木坂駅)、それ以外は便利極まりない。「上京したらとりあえず寄る場所」のひとつになりつつある。
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さて今日は、ちょっとだけ風邪気味、なんだかぼんやりして、銀行でお金を引き出した際にカードを忘れてきてしまった(連絡有り。来週、取りに行く)。
それから食欲というか、おやつ欲が減退している。午後3時に、コーヒーを飲んでも、何も食べたくないのだ。昨日の暴食が祟ったのだろう。そういう日もある。
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