スターバックス・コーヒーのシュトーレン

仕事帰りにスターバックスへ寄る。
店員に勧められるままに「クリスマスブレンド」を注文。コーヒーはとりあえずブラックで飲むのだけれど、これはミルクが合うと思う。レジ前で小さなカップで試飲させてくれたから良かったものの、知らなかったら席についてから困ったかもしれない。あの“自分で砂糖とかシナモンとか蜂蜜とか入れるコーナー”は、飲みかけのコーヒーを持ち込んではいけない気がする。少なくとも僕は席についたら、もう味の調整は諦める。

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クリスマス前ということで、「シュトーレン」を食べた。

いわゆるドイツのクリスマス菓子を模した、でもパンではなくてパウンドケーキ的なもの。ドライフルーツとナッツが入っていて、少しスパイスの香りがして、粉砂糖がかかっている。洋酒の香りは記憶に無い。
とりあえず、シュトーレン的な要素は7割くらい揃っているのではないだろうか。ただし膨らませるのに発酵はさせていないし、あの“本物”の感じとは色々と違う。
台湾と日本のかき氷くらいの違いはある。

しかし、これで良いのだと思う。
昔から「ほとんど英国車のミニじゃないか」みたいなデザインの軽自動車は売られ続けているけれど、あれをミニの代用品として買う人は少ないだろう。むしろ、本格的な「外車」ではないからこそ選ぶ、もっというと本物じゃないからこその魅力があるから売れているのだと僕は思う。いや、今の「ミニ」なんて特に面倒なことは無い普通の(やや高級な)コンパクトカーだけれど、確かに軽自動車のほうが気楽というか、「そんなにクルマで頑張りたくない」と思う人は「ミニのかたちをした軽自動車」が第一選択となる気がする。
できるだけ本格的なものを選びたい、と考える人からすると(僕は多くの物事でそういう傾向がある)、この分野はガチガチに詰めたくない、と考える人のことは時に理解しがたい。でも、想像はできる。
僕だってユニクロ隆盛以前の、厚くて丈夫で高価だった「本物のジーンズ」ではなくて、最近はファストファッションの、もっと履きやすくて安くて機能的に申し分ないジーンズのかたちをしたズボンを愛用している。

 

このスターバックスシュトーレンもまた、贔屓目に見ても本格的ではない。でもきちんとコーヒーに合うし、大きめのサイズに見合った甘みと、万人向けの味付けは、スタバらしくて好ましい。
むしろ、伝統菓子のほうのシュトーレンを、スターバックスが仕込んで、焼いて、寝かせて、そして薄く切って提供したら、なんだかおかしい。それは、あのチェーン店の領分ではない。
僕達はそこまで「ぜんぶが本格的に満たされた」社会には生きていない。この、軽くて食べやすいパウンドケーキなシュトーレンこそ、リアルな“週末のお楽しみ”として、自身の生活感覚に照らして正しいとさえ考えている。それもまた豊穣。
ともあれ良いコーヒーとお菓子でした。今週もよく頑張った、自分。

 

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