筍と柿と大根は、ある時期にまとまった量の“おすそわけ”をいただく。どれも季節の味であり、とても有難い。が、少人数の家庭では食べきれないほどの量は、貰った側に工夫を要求するのも確かだ。
筍は、ある時期に一斉に生えてくる。大根は家庭菜園では“生産調整”が難しいのだと聞く。
そして柿は、すぐに熟して柔らかくなってしまう。
涼しい場所でも熟すのが柿。屋外でさえ柔らかくなるのだから、収穫して室内に置いておけば、そうなるのは当然。だから急いで食べるか、干し柿などの加工品にする必要がある。
安土桃山時代にはまだ渋柿のほうが一般的だったと何かに書いてあった。干し柿などの需要があったため、生食をそれほど求められなかったのかもしれない。
干し柿は美味しいが、やや手間がかかる。それこそ半日仕事になってしまう。それにせっかくの甘い柿、そのまま味わいたい。
とりあえず朝に、皮を剥いて適当に切って、屋外に干してみた。網付きの干し棚が便利。皮はピーラーが早い。
実際の加工方法は、後で考える。具体的に言うと、通勤中にアイデアを考えた。
柿は甘い。酸味は少ない。やや癖があるような気もする。
というわけで、仕事の合間に「柿 ラム酒」で検索。多くの人が試している様子(パウンドケーキがおすすめ、とのこと)。とりあえず安心して、仕事に戻る。
そして帰宅して、朝干して、生乾き状態の柿を、ラム酒に投入。少し黒糖を加えてみた。
1時間経過。味見をする。
なるほど美味しい。ねっとりとして、どこか南国の果物を思わせる風味になっていた。でもきちんと柿の味。
干した効果があったのかは、よくわからない。
熟して柔らかくなった柿を好む人ならば、このアルコール感と強い甘さは喜ぶと思う。僕は好き。
きちんとした干し柿を刻んで作れば(レーズンやドライプラムや、少しのスパイスも加えて)、アヲハタの「クリスマスなんとか」に似た何かが出来上がる気もする。
とにかく、作って良かった。これは良い品だ。
でも手と顔が熱くなってきた。
なにしろお酒に弱い。これ、加熱してアルコールを飛ばしたほうが良いのだろうか。今はとりあえず、琺瑯の密閉容器のまま、冷蔵庫で寝かせている。
そのまま食べる以外に、活用法が思いつかない。ヨーグルトには合わない。バターを塗ったパンなら美味しそうだが、朝のパンという感じもしない。夜にちびちび食べる類の食品、と今のところは仮定して、しばらく忘れることにした。数日間は保つだろう。