東坡肉のまがいもの

社員食堂のメニューに、「皮付き鶏の東坡肉」という品があった。
味の想像はつくけれど、しかしたぶん中国には「甘みと醤油を効かせた鶏肉の煮込み料理」が、別の名前で存在すると思うのだ。社員食堂で、下手な例え話みたいな名前を使うより、きちんとそれを調べて使えばいいのに。そうやって教養というのは養われる。

あるいは、「皮付き鶏の中国風煮込み」のような言い方にする。それならば嘘ではない。
では「東坡肉風」だったらどうだろう。僕の好みからいえば、これは却下したい。似ているが違うと、本場の人が考える可能性がある。ならば避けて、ちょっとだけ思考すればいいのだから。

親の世代ならば、知らない食べ物も多かっただろう。まるで想像もつかない、程度の知識だったかもしれない。
今は違う。それぞれの国に、知らない名前の多様な料理があること、それは尊重すべきだと多くの人が考えていること、を知っている。そういう重箱の隅から始まる国際化もあるのではないかな、と最近よく考える。

 

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