映画『野火』と、河童土器屋と、チーズケーキと。

映画『野火』を鑑賞。
これはもう悪夢以外の何物でもない作品だった。

ネットのレビューでは「リアルな描写に震撼」といった感想が多かったけれど、僕には全然リアルには思えない。
まだレンタルビデオがVHSだった時代だった時代の日本映画みたいな「安っぽいスプラッタ描写と陰鬱な現代音楽に、唐突な場面転換で綺麗な風景を組み合わせて、芸術っぽさを出す」演出が目立つ。極彩色の自然と、鮮やかな血、それに繰り返される凄惨な死の描写。そして、下北沢の小劇場じみた大仰な台詞回し。

 

でもそれが、それこそが「悪夢」なのだ。
悪夢というものは、原理的に不自然で過剰だ。そして、悪夢の渦中にある時は、それに気付かない。
その悪夢性を、スクリーンの向こう側からこちら側に感染させてくる。
そんな「力」のある映画。理不尽を描くには、ここまでの過剰演出が必要だったのだろう。

 

感想としては、「嫌だ」という漠然としかものしか、今は書けない。
感想というより感情。
しいて言えば、(本作が現実に即していないにしろ)こういう悪夢の撤退戦が、フィリピンのレイテ島であったということに震撼する。

どう考えても好きな作品とはいえない。でも観て良かった。
技術と予算、そして考証を積み重ねて「リアル」を作り上げる昨今のアメリカ製戦争映画とは違う、しかしこれもまた戦争映画なのだろう。
しかし、しんどい映画だった。どっと疲れた。

 

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昼食は、静岡市役所のすぐ近く、「河童土器屋」にて海鮮丼を食べた。

この店、行くたびに、ほんの少しだけ嫌な思いをする。それは主に店員の態度や雰囲気なのだが、今日もまた同様に、嫌な感じがあった。
それについては書かない。本当にちょっとしたものなので。それに1年に1回くらいしか行かないし。

丼は、いつものように美味しい。
値段のわりに、とても豪華。海鮮丼には珍しく、太刀魚などが載っていた。というか今日は太刀魚がメニューのそこかしこに登場していたから、たぶんたくさん仕入れたのだろう。炙った太刀魚なんて初めて食べたけれど、なかなか美味しいものです。
個人的な好みでいえば、この店では天丼のほうが好きかもしれない。
どういうわけか老婦人の客が目立つ、穴場というには混雑する、しかし街中で天丼か海鮮丼を食べたくなった時には第一選択となる、そういう点では他に代えがたい店。

 

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夕方には「つきさむ」でコーヒーとチーズケーキを食べた。

チーズケーキは穏やかな酸味が上品。飴で固めたクルミが添えられていて、面白い対比となっていた。
コーヒーは「アルプスブレンド」を選択。奮発したわけではないが、今日は2杯飲んだ。
静かな閉店30分前の時間を、コーヒーと読書で過ごせた。いや、読書中も『野火』のことを思い出していたから、雰囲気ほどリラックスはしていなかったのだが。

tabelog.com

ともあれ良い休日だった。
昨日までの激務から、切り替えができたと思う。それに天気も良かった。

 

ポケットに静岡百景

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