『世界の涯ての夏』

世界の涯ての夏 (ハヤカワ文庫 JA ツ 4-1)

風邪をひいた。
仕事も暇なことが予想されたので、有給休暇を使う。本当は暇な日になんて休みたくないのだけれど、なにしろ体温が38℃以上なので、仕方が無い。

念のために病院でインフルエンザの検査をしてきた。陰性。良かった。
予防接種は昨年の秋に済ませていたし、夜中に起きて体温を測ったときに(その時に38.7℃だった)、備蓄してあるタミフルを服用していたから、たぶんインフルエンザに罹患しても、それほど酷いことにはなっていなかっただろう。でも数日間の自宅待機はしたくなかった。

 

 

ともあれ休日。
半日は寝た。それはもう、ぐうぐうと徹底的に寝てしまった。
それから、寝ながら読書したら、熱は下がったし、風邪の諸症状も治まってしまった。
先ほどから、部屋の細々した片付け、改善を行っている。毎週末、いつも考えていて、でも先延ばしにしていた諸々が片付いて良かった。
結果として、身体は回復したし、部屋も使いやすくなって、捨てるものは捨て、明日からの日常を気持ちよく過ごせるようになったので、有意義な(突発的)休日だったと思う。

 

 

さて、今日はその、読書が実に捗った。
特に印象に残っているのが、『世界の涯ての夏:つかいまこと』。
あらすじは、色々なところで述べられているから、そちらを参考にして欲しい。
僕はこの書評がとても気に入っている。

この本には、わりと長い「あとがき」がある。
コンテストの受賞作だからだと思うが、その対談形式の「あとがき」が実に素晴らしかった。
SF小説を好む人間が、必ずしも科学や宇宙や未来技術そのものに興味がある訳ではない、という事をSF小説を読まない人は理解しづらいと聞いたことがある。その回答になるであろう著者の意見が明解で、まるで僕の考えていることを僕よりもわかりやすく形にしてくれているようだった。最後の1行を引用してみる。

SFは、人類に別の視点を与えてくれる装置だと思っています。
この本を読んでくれた方が、何かちょっとでも歪んだかな、と感じてくれれば幸いです。

本当はもう少し長々と引用したいのだけれど、面倒なのでしない。
この前段で「ライトノベルジュブナイルの違い」に語られているところも素敵だった。自分の知らなかった、または知り得ない世界へ触れることで「歪む」ことが、「世界の見方を変える呼び水になる」というのは、確かにその通り。
著者は「詩が、言葉の力で言葉の捉え方を様々に変容させて読み手の認識にチャレンジする」ことと、「SFのある側面:歪むこと・異化すること」がよく似ている、つまりSFは詩的な読み物である、と言っている。上手いこと言うなあ、と感心してしまったし、強く同意するので、今後はこの説明を使わせてもらおうと考えている。

そんな「あとがき」は別にしても、さわやかな、ちょっと懐かしくて寂しい感じもする、全体としてはとても読みやすい、良い小説。
読みながら、お薦めしたい友人知人やインターネット経由の顔を見たことのない人達の事を考えていました。皆に薦めたい。個人的な、1月の推薦図書です。

 

世界の涯ての夏 (ハヤカワ文庫 JA ツ 4-1)

世界の涯ての夏 (ハヤカワ文庫 JA ツ 4-1)

 

 

 

 

 

 

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