12万3672kmと、さようなら。

10年近く乗り続けた愛車とお別れした。
総走行距離は、123672km。以外と短い気がする。

思えば、濃厚な10年間だった。
引っ越し、出会いと別れ、大病と離職と再就職、旅行や出張。当時はハイテクの塊だったこの車、最後の最後まで古びることなく、性能に不満を感じることが無かった。

 

しかしこの1週間、ことあるごとに感傷的になって、困った。
好きな物は大切にするけれど、ここまで想いが強かったとは、我ながら予想外だった。
カーナビの登録地点、ハンズフリー通話の登録、その他の様々なデータは、全て消えてしまうのだ。いや、今その情報を生かす機会は無いし、もはやどうにもならない情報ではあるのだけれど、しかしそれでも考えこんでしまう。何かが消える、というのは本当に寂しい。

そして昨日今日と、その車に積まれていた物を、全て外に出した。
いつもアクセスしない、トランクルーム下の物入れや、ダッシュボードの小さな収納庫に入っていた物品に、また心が震える。
いつもは気にもとめなかった、座席の背にある書類ポケット、そこには大昔の個展や旅行のフライヤーやパンフレットが入っていた。そういうものが発掘されるたびに、手が止まってしまう。使いかけの乾いたウエットティッシュすら、思い出すべきエピソードがあるのだ。
引っ越しの時よりも、ある意味ではナイーブになったと思う。

トミカ トヨタ プリウス (サック箱) 106

しかし車を手放して、新しい車に乗ってみると、その感傷はそれほど気にならなくなる。喉元過ぎれば、という訳ではないと思う。思い出は思い出として整理をつけて、今は次の段階へ、という”覚悟”ができた、のかもしれない。
物は物で、情報は情報。そして物の魂は、人間の心に宿るのだろう。

もう、昨日今日と感傷的に眺めていた「昔の情報」はさっぱり思い出せない。いつかふとした拍子に思い出すかもしれない。
いずれにしろ、それらは(僕の日常からは)失われて、そしてばらばらになった破片のようなものが、今の僕を形作っているのだと考える。
それでいいじゃないか、と考えられるのは、歳をとったからか。大きな、取り返しのつかない別れだが、きっともう、困らない。だって先月も先年も、困らなかったのだから。
全ては心の中に、だ。写真は撮ったが、今は別に必要としない。

新しい車は、良い車だと思う。30分で慣れたし、新機能もたぶん、数週間で我が物にできる。さすが最新の機械。初期設定が多いあたりが、いかにも昨今の機械という感じがする。
そして古い車は、たぶん南か北か、どこか静岡よりも厳しい土地に行くと決まっている(とディーラーの人が教えてくれた)。見てくれは凸凹だが中身はしっかりしたハイブリッドカーは、雨や雪や潮風で消耗の激しい土地に需要があるそうだ。そういえば、沖縄は中古車が多かった。
そういう土地で、元気に走り回ってくれると嬉しい。

 

トミカ トヨタ プリウス (サック箱) 106

トミカ トヨタ プリウス (サック箱) 106

 

 

t_ka:diaryは、Amazon.co.jpを宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイトプログラムである、Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。