同僚が熱っぽく「アポロは月に行ってなかった論」を語ってくれた。
こいつは阿呆だ、知識とか頭の回転とは別の部分で阿呆だ、と常々感じていたが、今日はそれを再認識した。20代後半でそりゃないぜ、と思う。
アポロ計画の、あの月の映像が嘘だったという説は昔からある。でも21世紀になってから、わりとポピュラーな、というかバラエティ番組で得る“軽い知識”の1つになったように思える。デトックスやマイナスイオンの類。
僕だってあの時代は生きていないが、でも「歴史的事実」として、わざわざ疑う気分にはなれない類の物事だと思っている。そういう肌感覚は別にしても、もう様々な観点から、あの陰謀論は出鱈目だとわかる。それこそ「ちょっと考えればわかること」を放り出してしまう人を検出する、ひとつの指標といえるのではないか。
あの映像が作り物だったとする。例えば「旗が風にはためいているじゃないか!」という主張がある。真空では風が発生しない、つまりあれはアメリカの砂漠で撮られた映像だと。
当時の、アメリカ政府の密命を受けてその映像を作ったスタッフは、月の環境を考慮しなかったというのか。そこまで無知で杜撰な人達に任せるなんて、宇宙開発競争もおおらか過ぎるのではないだろうか。
というか、あれが作り物で、それが拡大映像や影の形や色合いでバレてしまうのならば、当時のソビエト連邦や他の国々だって見破っていたと思うのだが。今の解析技術でなければ明らかにできない綻びなのか、「旗が揺れている」というのは。
僕がソ連の人間だったら、アメリカがあの程度の捏造動画で世界を騙したのだとしたら、自分たちだって同じ事をする。あるいは、証拠付きで糾弾しまくる。なにしろ競争なのだから、その辺りは容赦しない。
まあ、反論はいくらでもできる。
休憩時間の雑談だから、それほどきつい言い方はしなかったが、でも要所は指摘した。
「へえ、すごいね。ずいぶん手間をかけた極秘作戦が、今は画像の拡大でバレバレなんだ。なんで当時の人達は気が付かなかったのだろう。熱狂していたから?」とか。
だって一応は科学に関する仕事をしているし、論理的思考はとても必要になってくるのだ。それくらいはしっかり身につけてもらわないと困るし(現に、ほぼ毎日困っている)、20代後半はひとつの山場だと思うのだ。
でも彼は「そうそう、そうなんです。集団ヒステリーなんですよ番組でもそう言っていました」と嬉しそうだった。なんとなく、細々とした(彼にとっての)歴史的不整合は、全て「集団ヒステリー」の箱に放り込まれてしまいそうな気がして怖い。集団ヒステリー、便利なツールだ。
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