熱い夜だから -2015-


先ほど、コンビニエンスストアに寄り道した。筆記用具その他を買い揃える必要があったのだ。

あまりコンビニには行かない。せっかくだから、と店をゆっくり巡り、野菜ジュースやゼリーなども購入する。

たぶん平均的な滞在時間よりも長く、また立ち読み客でもなかったせいだろう、店のスタッフ達が、途中から「客がいないモード」になっていた。

そして、レジの近く、冷やしたデザート等がある辺りからレジカウンターに向かった時に、スタッフが話しかけてきたのだ。
「めっちゃ蒸し暑い。湿度高くない?湿度高くない?湿度高くない?」
どうして、湿度について3回も聞いてくるのかは想像の埒外だが、それにしてもびっくりした。
たしかに蒸し暑い夜だった。夕方に弱い雨が降ったせいもあって、気温は下がらず湿度だけが上がる、という感じで、それはコンビニのような空調の効いた場所でもわかるのだろう。外に出る時には、きっと不快だったと想像する。

こういう時にどういう言葉を発するか、で紳士か否かが決まると僕は考える。
それ以上に、間を置いてはいけない状況だと思う。
だから咄嗟に、「袋は要りません」と答えた。

スタッフにとっては「勘違い台詞は相手(僕)に聞こえていなかった」と捉えるだろう。そして僕は、気まずい雰囲気を回避できる。ただ接客ミスだけが闇に葬られる形となったが、夜のコンビニエンスストアでそこまで完璧なサービスは求めていないから、スタッフと僕の間では、この問題はこれでおしまい。

これは異論もあるだろうが、僕は夜のコンビニエンスストアのような「安い仕事」では、これくらいの間違いは許容すべきだと考えている。別に無愛想でもいいし、言い間違いくらいは気にしない。ただし、スタッフ同士、あるいは家族や友人知人である客に対しても、他の客と同様に、気怠くクールに対応して欲しいとは思う。そこはなんというか、“けじめ”の問題。タバコを買うくらいの「安い客」が威張りまくる格好悪さと、仲間とだけ元気に接するスタッフのそれは、似ていると思う。
これは、良くないことというよりも、夏の夜のコンビニは、全体的に低いテンションを保っていて欲しいと(いささか身勝手に)願うからこその、ひとつの理想なのだ。

 

 

 

t_ka:diaryは、Amazon.co.jpを宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイトプログラムである、Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。