今日はことさら暑かった。
そして忙しかった。
なんだか変な疲れ具合になっていたので、甘味の補給に藤枝市の「まるか商店」へ行く。
この店は茶問屋町の「茶町」にある、冬は大判焼きで有名な店。本来は緑茶の小売をしていて、店の一角ではじめた甘味処が有名になった、という雰囲気がある。狭くてカジュアルで、駄菓子から贈答用のお茶まで売っている。
夏場はかき氷を求める客が多い。子供向けのカラフルなシロップから、粉末茶やミカン果汁を使った品まで、種類が多い。大判焼きからの展開で、粒餡を活かしたかき氷や冷やし汁粉もある。
そんな数多いメニューのなかに「女将スペシャル」という品がある。
どこがスペシャルかというと、色々と盛り沢山なところがスペシャルなのだと推測される。ちなみに「パフェ」の一種だと、僕は分類している(理由は後述)。
大きめのお椀に、抹茶寒天と緑茶アイスクリームをどっさり入れ、白玉団子や缶詰のフルーツを散らし、なぜかワッフルも差し、粒餡を盛り付け、焼きたての香ばしい草団子(数種類の串団子から選択可能)を乗せたら完成。
鄙びた和風冷菓の風情などは微塵もないが、これはこれでいいんじゃないのかな、と思えてくる豪華さ。パフェは「パーフェクト」の意だと本で読んだが、ならばまさしくこの「女将スペシャル」こそが駿河国の志太平野におけるパフェだといえる。
量は多く、餡はしっかり甘い。他の構成具材も甘い。でもさっぱりしていて冷たくて、なかなか美味しい。
この「素敵なものをぜんぶ詰め込んだら素敵さ∞じゃないかしら♥」という発想こそ、女将(って誰だろう?)の夢であり、その顕現がこの丼甘味だとするのなら尊重したいと思う。
しかし思う。皆がさっぱりと緑茶味のかき氷などを食べている時に、「はーい『女将スペシャル』のお客様ー!おまたせしましたー」と大きな声で呼ばれるのは、ちょっと恥ずかしかったです。別に食べてもいいのだろうが、なんとなく場違いな気がして困ってしまった。
あの懐かしい学生時代、暇つぶしとお喋りのために深夜のファミレスに行った際に、いきなりフルコース状態の注文(スープからはじまり食後酒まで)をした旧友を思い出す。
というわけで、次はもう少し穏当なメニューを食べようと思う。
なかなか楽しい体験だったとは思うが、僕が和風甘味処に求めるものとは、ちょっと違う。でもしかし、「女将スペシャル」には、今回の「和風」とは別に、「洋風」もあると知ってしまった。どんなものか、どうにも気になってしまっている。