今日は満腹の日だった。
ふと思い立って浜松市に行き、用事を片付けたあとにブラジル料理店で昼食とした。
その店がシュハスカリア、つまりブラジル式バーベキューの店だった。
この店の場合、90分間は、サラダや料理や飲み物はセルフ・サービスで好きなだけ選べる。サラダも一品料理も全てブラジル的な品ばかりなのが嬉しい。グリーンサラダの青菜ですら、ケールのような濃い色の葉っぱだった。トマトだけが普段通り。挽き割りの穀物のサラダ的な何か(写真では茶色いオカラみたいに見える)が気に入った。
そしてテーブルの大皿には、焼けた肉が運ばれてくる。
ソーセージから肋肉、ばら肉の赤身部分、サーロインといった様々な部位が、それぞれ最適な塩加減と焼き加減で炭火の串焼きになっていて、好きなだけ取り分けてくれるのだ。
ぱさぱさの燻製みたいな肉も、ほとんどレアな肉も、それぞれとても美味しい。こんなに沢山食べられるのか、と思うくらいの量が、わんこそば形式でどんどん提供される。塩気が強いため、前述のサラダが実に役に立つ。酢漬けの微塵切り野菜や、ビーツの薄切り、キュウリやセロリのマリネをたくさん食べ、そして肉を咀嚼する。
どう見ても浅漬け、というサラダもあった。でも日本の、白菜の浅漬けとはちょっと違い、ハーブが効いていて、モヤシが入っていた。日系人の味、なのかもしれない。
ともかくそういう、肉と野菜を交互に食べて、もうお腹いっぱいというところで、肉をストップしてもらう(すると次に、焼いたパイナップルやチーズが運ばれてくる)。
周りのお客さん(南米系の人が多い)は、これらに加えて、米とジャガイモとコロッケ風の揚げ物と、豆の煮込みをたくさん食べていた。僕はそこまで健啖ではない。
でもせっかくだから、豆の煮込み(フェジョアーダ)は食べてみた。
とろりとした、あずき色の豆は、意外とさっぱりしている。甘くないお汁粉みたい。塩気やコクは、煮こまれたソーセージや豚足から出ているのだと思う。豚耳のような面白い食感の肉も入っていた。
本来は、これをごはんにかけて食す。僕は満腹だったから、スープやシチューのように食べた。炒ったキャッサバの粉をかけて食べると、しみじみ美味しい。贅沢かつ滋養に溢れる、という感じ。ご馳走なのか日常食なのかわからないが、たぶん国民食なのだと推測する。
完全に満腹だったが、でも食後のデザートは食べた。
トムとジェリー的な色合いのゼリーやババロアから、どっしりとしたプリンまで、多種多様なスイーツが揃っている。
これが本当に美味しかった。見た目に反して、甘さや酸味に変化があって、食べていて楽しいのだ。なかには徹底的に甘い品もあったけれど、甘党でなくても大丈夫な品がほとんど。プリンなどは濃厚で、これを目的に来店したいくらいの味だった。コーヒーが実に合う。
食べ終えて、車に戻った時には、苦しくて動くのも億劫だった。
でも数時間経つと、なんだか元気になったのが不思議。
思わず浜松駅のビルにある喫茶店でホットケーキを食べてしまったくらい(危機的な満腹になった)。
いちおう90分の制限時間があるが、飲み会としての利用でもない限り、そんなに時間をかけずとも満腹になるだろう。これで2400円程度なのだから、とても安い。
どういうわけか、今も身体がぽかぽかしている。
僕の食生活は、それほどビタミンやアミノ酸が不足しているわけではないはずだが、今日の過食は身体になにかしらの影響を与えているらしい。良い変化だと良いのだけれど。
しかし隣の席の子供たち、たぶん幼稚園児くらいの女の子達が、僕と同じくらいの量の肉をもぐもぐ食べていて、あれはびっくりした。南米っぽい、可愛らしい顔立ちの子供だった。食べ慣れているのかもしれない。というか、店員さんに「私はこの赤身をこれくらい。次はランプ肉を強めの塩で食べたいわ」みたいな注文をしていて(言葉はわからないが、たぶんそういう内容だと思う)、すごく格好良かった。「本場!」って思った。
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