職場の人からチリソースの小瓶を貰った。ゴールデンウイークに東南アジアに行ってきた、そのお土産。
ほぼ同時期に、友人からスイートチリソースを貰った。これは「うちでは使わないから、君なら喜ぶでしょう」みたいな、冷蔵庫の掃除に関する品。
東南アジアのチリソースは、徹底的に辛い。タバスコから酢を抜いて、ついでに塩も減らして、ほんの少しだけ糖分を加えた、そんな味。おそらく唐辛子自体が辛いのだと思う。
友人の冷蔵庫で熟成されていたほうは、ごくふつうのスイートチリソース。エスニック料理店で出会う、あの味がする。
こういうものは、積極的に使っていかないと、冷蔵庫で死蔵されることになる。特に最初の2週間が勝負だと個人的には考えている。
だから今日も使ってみた。
いちばん手軽で、かつそこそこ美味しいものとしては、「揚げかまぼこ」が挙げられる。フライパンか網でかりっと焦げる寸前まで焼き、スイートチリソースをかけて食べる。あればピーナツ油を塗ってから加熱すると、よりエスニック風になる。
今日はスイートチリソースとチリソース、両方とも試してみた。
どちらも美味しい。玉ねぎサラダによく合う味。ただしご飯のおかずとしては、ちょっと魅力に欠ける。なんとなく若者向けの居酒屋にありそうな味という印象。
揚げかまぼこ、といえば「志の田揚げ」を思い出す。
母方の祖母が生きていた頃は、よく食べた。祖母の家の近くに製造直売所があり、そこでは「志の田揚げ」と「白はんぺん」しか売っていなかった。
志の田揚げは、白身魚の練り製品で、オレオくらいの大きさと厚み。かなりしっかりと揚げてある。「白はんぺん」は、焼津名産の「黒はんぺん」と同じ形の、しかし材質(?)は一般的なはんぺんという品だった。どちらも手作りで、それほど安価ではなかったと記憶している。
ご馳走というよりは日常の食事で、これを祖母は好んで購入していた。
いつも、山ほど買ってきて、大皿に盛り付ける。細々とした小鉢や皿が並ぶ家だったのに、この「志の田揚げ」だけは絵本のように山盛りだった。
これを冷たいまま、ウスターソースにつけて食べる。
不思議な食べ方だと今なら思うが、子供の頃はこれが当たり前だと思っていた。
祖母は、ウスターソースをよく使う人でもあった。
「清水市(今の静岡市清水区)で最初にカレーライスを食べた女性」らしいから、たぶんハイカラな人だったのだろう。関西にルーツがあるのかもしれない(関西人はソースが好きという偏見)。
先ほど、ちょっとそのことを思い出して、揚げかまぼこにウスターソースを付けてみた。格別に美味しい、とは思わないけれど、甘辛くて面白い味だった。
いつか自分のお金で山盛りの志の田揚げを買ってみたい、そう子供の頃は考えていた。今はその店は無い。探せば類似品が、あの港町にまだある気がする。山盛りはいらないが、たぶんチリソースにも合うだろう。
ところで「志の田」ってなんだろう。屋号か?