あなたが普通じゃないから、世界はこんなにも素晴らしい。
映画『イミテーションゲーム』を観た。
個人的に、今年でいちばん良い映画となりそう、それくらいに良かった。もう1回くらいは映画館で観ておきたい。
コンピュータの始祖を作りあげ、人工知能とは何なのかを簡潔に示した天才、アラン・チューリング氏を描いた映画。チューリング・マシンやチューリング・テストといった言葉、エニグマ暗号の解読、そして時代に翻弄された悲劇的な死については、本もたくさんあるし、ウィキペディアを読むだけでも、その凄さはわかる。
でも映画だからこそ伝わる、彼の苦悩や喜び、周囲の人間との関わりというものがある。もちろん「真実を元にした物語」だから、絵空事なのだが、それでも心を打つ物語となっていて、もう上映中は惹きこまれっぱなしだった。
今でも劇中の言葉「あなたが普通じゃないから、世界はこんなにも素晴らしい」を思い出しては、余韻に浸っている。
僕はどう考えても天才でも非凡でもないが、でもこの言葉はとても心に沁みる。この感覚は上手に説明できない。ぜひ映画を観て、味わってほしいとしか言えない。
シリアスな映画だが、ところどころに軽妙洒脱な表現があって、しかもコンピュータサイエンスや暗号や戦争に詳しくない人でもきちんと筋を追える作りになっていた。チューリング氏の人生を(書籍を通して)知っている僕でもはらはらする場面が多い。たぶ色々な見方ができる、スリリングで重層的な作品。別の言い方をすると、「秘密」と人間との様々な関わりについてのお話。
静岡市では小劇場だけの公開で、正直なところもったいないと思う。おすすめです。
チューリングを読む コンピュータサイエンスの金字塔を楽しもう
- 作者: チャールズ・ペゾルド,井田哲雄,鈴木大郎,奥居哲,浜名誠,山田俊行
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今日のおやつは、「パサージュ鷹匠」にあるバー兼カフェで食べた。以前は「Juillet」という名前だったはずだが、「Norris」に改名していた。雰囲気やメニューは変わっていない(たぶん)。
この店の名物である「サン・ジャック」を使った、「溺れたサン・ジャック」というデザートを、コーヒーとともに楽しんだ。
レーズンとシナモン風味の、大きな円盤型の焼き菓子(マドレーヌっぽい生地)が、濃くてビターなショコラショーに浸かっている。サン・ジャックといえば帆立貝だから、溺れるというのは奇妙。それにだいいち、聖人を溺れさせたら不敬な気がする。
でもとにかく美味しい、上質な一皿。大人の贅沢、という感じがする。
この店、行くたびに感心するメニューがある。コーヒーだって美味しかった。