老人向けコンパクトカメラ

Canon デジタルカメラ IXY 640 シルバー 光学12倍ズーム IXY640(SL)


両親のカメラを買い替えた。
何かの記念や、お礼ではない。
単にふと、新しくて安いデジタルカメラを買いたくなって、しかし自分用には十分に良いものを持っているので、では両親が使う古びたカメラを更新しよう、と思ったのだ。自分には珍しい、物欲の発露。

古びた、とはいうものの、特に彼らは不自由していないようだ。
僕の目から見ると、どうにも一世代昔の性能が気になる。せっかく孫や名所や神社仏閣の写真を撮っても、この画質では勿体無い、と思ってしまう。ブレるし、デジタルズームを頓着無く使うと(使う人達なのだ)さらに残念な画像になってしまう。
6年前、家電量販店の店員は「今ならカシオがおすすめです。画質も使いやすさもカシオが一番です」と言っていたらしい。6年前はそうだったのかもしれないけれど、でも僕としてはカシオのコンパクトカメラにはそれほどの優位性があるとは思えない。

というわけで、最近の「この性能でこんなに安いのか」と思わせるカメラを買ってみた。Canonの定番「IXY」シリーズのコンパクトカメラ。4月に後継機が発売されるらしく、とても安くなっていた。光学10倍ズームで12000円以下とは、すごい時代になったものだ。

軽いし、小さい。そして手ぶれ補正は実によく効く。オートモードで適当に撮るには必要十分な品だと思う。

しかし母と、母の友人は、そうは思わないようだ。
試し撮りした画像を見て「もう少し高画質だと思った」とか「前のカメラと変わらない」と言う。「家族の持つスマートフォンのほうが綺麗に写る」とも。
この人達は、カメラで撮影したものは、まず背面のモニタで見る。その後、友人知人にも、このモニタで見せる。クラウドサービスにアップロードして携帯端末でシェア、みたいな使い方をしない。

老人には、こういう使い方をする人が多い気がする。タブレットスマートフォンは持っていないか、使いこなす気がない、カメラ単体で撮影から閲覧まで完結し、パソコンにはデータ保存としての役割だけを求める人達。

彼ら彼女らのニーズに応えるために、カメラメーカーは「老人向けコンパクトカメラ」を作ればいいと思う。ボタンを大きくするとか、そういう工夫もいいけれど、いちばん求められているのは「良いモニタ」なのだ。
スマートフォンに使われるくらいの高精細高画質な液晶モニタを装備すれば、老人達は「なるほど高画質だ」と納得するだろう。ハイビジョン黎明期のNHKのように、少し派手目な色使いをすれば、なおさら高い評価が得られる。まずはモニタ、それ以外の機能はコストダウンを徹底し、安価に作れば、きっと売れる。

ともあれ、カメラ自体は気に入ってくれたようだ。
6年前に50000円で購入したものよりも、現在の12000円のほうが高性能、というところに納得がいってないようだけれど、それはそれとして、軽量で手ぶれ補正がしっかり機能するだけで、活躍の場が増えるだろう。

 

しかし僕は、どうしてこんなに忙しい日々に、カメラなど買っているのだろう。ストレスだろうか、心の隙間を満たそうとしているのだろうか。よくわからないが身体的には(疲労のわりに)健やかなので、とりあえず天津甘栗を食べて、精神の栄養とする。

 

 

 

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