アヒージョとパエリア

家族は旅行に行ってしまった。
せっかくなので、夕餉は外食する。ちょっと疲れていて、小さな贅沢というか、楽をしたかったのだ。

ここへ行くぞ、と決めていた店は、臨時閉店だった。
だから仕方なく、ファミリーレストランの「スペイン料理フェア」による“小さな贅沢”を実行した。

無難といえば無難、そして比較的安価な、ある種の安全が保証されたファミリーレストランの夕食は、しかしなかなか楽しかった。

 

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どの料理も、きちんと美味しい。ワインが飲めれば、きっとさらに楽しめそうな風味と味付け。「でもこれ、家で作ったら自分向けに最適化されたものが食べられそうだな」と思える品もあり、あるいは「専門店のものとは全く違うが、これはこれで食べやすい」という料理もあった。

前者は「牡蠣と茸のアヒージョ」であり、後者は「パエリア」だった。
アヒージョは、食べ終わったあとの油が「何かに使えそう」だと思ってしまった。自宅だったら、冷凍庫にあるタコや、塩豚や、ナスを追加して延々と楽しめそうな旨味があった。

後者はパエリア。パエリアについては、「ではこの、ミックスパエリアをください」と注文した際に、「はい、『大地の恵と海の幸で焼き上げた情熱のミックスパエリア』をお1つ、ですね」と確認されたことが印象に残っている。
タラの切り身の味は忘れたが(生ハムは美味しかった)、この長い名前は脳に刻み込まれた。途中に「幻想の」とか「増加試作型」を、そして末尾には「エクストラホイップ」と加えても通用しそうな、素敵な名前だと思う。

僕はこの種の(素敵な)料理名を、どうしても読み上げることができないうえに、なぜか覚えてしまう。
忘れたころに、ふとフラッシュバック的に蘇る記憶。
たぶん臨終の床で、2012年の夏にオーガニック・カントリースタイル・カフェで注文した「キララ妖精のステップ ブルーベリー添えのソイミルク・パンケーキと本日のミニスイーツ」を思い出してしまうのだろう。味は忘れるが、特定の情報は消せない。呪いのようなものだ。
今思うとあの店では「フェアリーパイ 風と花と果実のブーケ」を食べておけばよかった、と悔やまれる。静岡県では、妖精を食べる習慣が無いのだから(代わりにイルカを食べる)。
ところでキララ妖精って何なのだろう?知っている人は教えてください。たぶん長野県の上高地に生息しています。

 

 

 

愛と幻想のファシズム(上) (講談社文庫)

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愛と幻想のファシズム(下) (講談社文庫)

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有頂天家族 二代目の帰朝

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有頂天家族 (幻冬舎文庫)

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