サヴァラン

今日は、あまり遠出はしなかった。
買い物などはできるだけ地元で済ませ、年末年始から続く諸々に、余裕を持って向きあおうと考えたのだ。街まで行けば楽しいし美味しいものも食べられるけれど、移動だけで時間がとられてしまう。
ここしばらく、特に土曜日に充実感が無かったので、とにかくのんびりしたかったことも、理由のひとつ。

しかし、その試みは失敗に終わった。
地元の書店には本が無く、いくつか買いたかった工具や文房具も見つからず、昼食に入った店は凡庸で、そして自宅で心静かに休息するほどの空き時間も無かった。何が忙しかったというわけではない。ただ今になって振り返ると、「やりたかったことリスト」につけられたチェックマークが想定よりも少ない。部屋と精神の両方が、取り散らかっている状況といえる。

 

そんな低調な土曜日だったが、おやつに食べたケーキは美味しかった。
焼津市の「パティスリーAO」の「サヴァラン」。

この店、見た目はただの“新しい、田舎町のケーキ屋さん”。でもケーキは洗練されていて、伝統的なものを新しいアレンジで提供している。田舎ではなかなか出会えないフランス伝統菓子に出会える貴重な店。

僕はこの「AO」の「ババ」が好物で、今日もババを買うつもりだった。
ショーケースにババは無く(その代替かどうかは定かではないが)、サヴァランがあった。

まあ、ババが美味しい店だから、サヴァランだって美味しいに決まっている。というわけでサヴァランを購入した。

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見た目は一般的なサヴァランには程遠い。

食べてみると、上半分はラム酒風味のカスタードクリーム、真ん中に生クリーム、そして下部がラム酒を染み込ませたブリオッシュ生地(だと思うが、とにかく元はふかふかした生地がラム酒のシロップでびしゃびしゃになっている)で、紛れも無いサヴァラン、しかも大変に上質なそれだった。バニラがしっかり香る。
もう1つ買っておけば良かった。例えば真夜中にこっそり食べたら、それはまた格別な体験となっただろう。

これが今日あった、数少ない良かったこと。
サヴァランが無かったら、今頃は個人的な反省会を、壁に向かって実施していたと思う。「救われた」なんて大袈裟なものではないにしろ、これはおやつの効用だと考える。

僕の日常はおおむね甘いものに支えられている。
ガラスのような繊細な日常を守るため、備えは必要だ。だから今日は、サヴァランと共に、タルト・タタンを購入した(豊かな人生だ)。
いまそれを食べたい欲求が生じているのだが、タルト・タタンは深夜に食べるべきお菓子ではない、と思う。だから寝る。

 

あんなに大きかったホッケがなぜこんなに小さくなったのか (単行本)

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