値段の変わらないカレーと、炭水化物ばかりのサラダ

今の勤め先は、社員食堂が高い。
普通の外食よりは安上がりかもしれないが、外に食べに出かける時間は無いし(敷地から出るだけで10分以上かかる)、外に出ても倉庫と町工場と畑しか無いから、事実上この社員食堂以外での昼食は考えられない。
社員食堂に隣接してコンビニエンスストア風の売店があるけれど、あまり魅力的な食品は並んでいない。菓子パンばかり、種類が豊富。豊富といえばレッドブルが大量に並んでいて、なんというか“過酷な労働”を想起させるので、あまり昼休みには使いたくない(でも退勤時刻には閉めてしまう)。
総務部の人に聞いてみたところ「会社からの補助は無いからね。来年度から、さらに上がるから」と言っていた。

 

この社員食堂で、今日はカツカレーを食べてみた。
どういう理由かは知らないが、ここのカレーは、具材によらず値段が一定である。茹で野菜がべちゃっと乗った「野菜いろどりカレー」も、薄切りのハムが3枚添えられた「ハムカレー」も、それから普通の「カレー」も、価格は変わらない。
ではこのカツカレーのトンカツが、ハム3枚と同程度のコストで作られているかというと、そんな風には見えない。感心するような上出来のカツでは無いのは仕方がないところだが、1990年台にスキー場で食べたカツカレーの8倍くらいは美味しい。スーパーマーケットの惣菜売り場にあってもおかしくない水準のトンカツだと思う。
不思議なことに、カツカレーだからといって人気がある、とはならない。茹でたインゲン豆5本が並んだ「豆カレー」でも、カツカレーや海老カレーと同じくらいに人が並ぶ。

この職に就いてから、初めてのカレーだった。
なかなか美味しい。上述のとおりカツも悪くない。
手っ取り早く食事を済ませたい、あるいは単品でいちいち選ぶのが面倒な人ならば、第一選択として十分に考えて良さそう。

ただし、野菜が足りない。そのことは栄養士や健康管理部門も把握・問題視しているようで、「カレーだけでなく、サラダも食べましょう」と貼り紙がされていた。
貼り紙に従い、というかサラダはいつも食べているから、今日も1皿取った。健康は大事だし、食味の点でも、カレーにはサラダが必要だと思う。

今日のサラダは、「マカロニサラダ」だった。昨日は「ペンネのサラダ」で、先週は「ジャガイモとソーセージのドイツ風サラダ」や「明太ポテトサラダ」を食べた記憶がある。
僕は思うのだが、こういう場合の「健康維持のためにサラダ」に、炭水化物をマヨネーズで和えたような品を持ってくるのは、どういう狙いなのだろう。もちろんジャガイモだって野菜で、ビタミンCや食物繊維の量は、なかなかのものがある。
しかしほら、サラダといったら、「体を整える食品」群であって、もう少ししゃきっとして、あるいは瑞々しい品を指すのではないだろうか。

 

しかし最近は、野菜が高い。帰宅時に買い物をすると、レジで少しだけ驚いてしまう。「野菜をこれくらい、牛乳と玉子と、それから少しの嗜好品で、たぶん〇〇円くらい」などと予想した価格の3割程度は高くなる。
冬にトマトやキュウリを食べる必要は無いのかもしれない。しかし冬野菜や工場生産のレタスまで高いのは、困ったことだ。キノコは、わりと安定している。

たぶん、これからはマカロニやペンネを食べれば良いのだろう。せめて政府はマカロニに、ビタミンや食物繊維やミネラルを添加して欲しいものだ。庶民はそれをサラダにして食べる。「安倍総理からの贈り物」とか「朝取りのデュラムセモリナ」などと蔑称され、しかし日本の食文化として定着したら、不景気の“らしさ”が際立つと思う。そういうの、嫌いじゃない。

 

とりあえず、社員食堂のサラダは、「改革野菜」と呼ぶことにする。もちろん口には出さない。タブーとまではいかないが、どうやら社員食堂の品質と価格に対しては、おおっぴらに語ってはならない、そんな雰囲気がある。あるいは単に、これがこの会社の常識なのかもしれないが。

 

 

 

 

 

 

 

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