大雨・暴風・鍵の消失

 大変な一日だった。仕事は楽だったが、その前後が辛かった。

 朝、台風の県内侵入に合わせるようにして出勤。
 公共交通機関は止まり、高速道路だって全面通行止め、さらには小中学校も休校、そして職場の周囲では避難勧告まで出ているのに、職場からの連絡は無い。どうやら「台風や雨に関しては、特に対応しない。普通に出勤せよ」という方針らしい。数百人が働く事業所としては珍しいのではないか。最寄り駅というものが存在せず、遠くから通勤してくる人が皆無だから、天候不順に関する規定も無いし、配慮もしないという。
 以前働いていた職場では、こういう時は出勤時刻をずらすか、あるいは半日か全日の休日にしていた。
 安全第一を掲げるわりには無茶をさせるなあ、と思ったものの、もちろん黙っている。

 で、その台風がいちばん暴れている時に出勤したので、傘は折れるし、服も靴下もびしょ濡れになるし、とにかく大変だった。駐車場からセキュリティゲートを抜けて仕事場の建物群に到着するまでの7分間、ものすごく消耗した。
 傘はすぐ治せた。服も靴下も予備を用意してあった。でもそのバタバタした数分間のどこかで、車の鍵を紛失してしまった。

 車を運転してきたのだから、駐車場までは鍵があったことは確か。雨と風で倒れそうになりながら歩いているうちに、ポケットから落ちたか、手から落としてしまったのだろう。

 

 広い事業所とはいえ、朝に歩いたのはメインストリートといえる道路。だから鍵は見つかるだろうと考えていたのだが、夕方まで発見の報は無かった。

 

 定時で仕事を終えて、朝歩いたところや、車の周りを丹念に捜索した。でもやっぱり鍵は見つからない。車が無ければ帰宅できない。
 仕方がないから、知人に電話をして、家まで送ってもらうことにした。知人に拾ってもらうため、表通りのローソンを待ち合わせ場所にしたのだけれど、このローソンがおそろしく遠い。いつもの車の感覚で、気軽に提案したのが間違いだった。
 鍵の捜索と、ローソンへの徒歩移動、その2つが本日の疲労の主原因といえる。まあ、僕のミスだ。

 

 

 仕事は全体的に楽だった。連携して働く部署の人達が示し合わせて半休を取っていたこと(うらやましい)、物流関係が滞ったこと、さらに台風によりいくつかの設備が使用停止となったことなどが、暇になった理由。
 そういえば、出社してから1時間くらい経ったら、ほぼ雨は止んだのであった。こうなると、無理矢理に定時出社したのが馬鹿らしくなる。繰り返しになるけれど、少し出社時間をずらすだけで、大雨と暴風の中を出勤する愚を(あるいは危険を)防げたのだ。
 とはいえ、なにしろ配属されて1ヶ月だから、今はまだ、そういう事は黙っている。なかなか良い職場だとは思うが、たまに小さな違和感がある。先輩や上司が当たり前に言う“常識”が、ちょっとだけ引っかかるのだ。引っかかりをこじらせると心身に良くないから、とりあえずは忘れて寝る。
 そして“思うところ”は、もう少し溜め込んでから、そして職場内での立ち位置が定まってから口にしようと思う。

 

 

 

 

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