忌むべき仕事と、メントールの香り。

 仕事中ずっと、いろんな人から「今日は緊張しなくていいよ」みたいな言葉をかけられた。初めてやる作業だったが、昨日までの諸々に較べて、特別に緊張したり、気を遣うことがあるようには思えない。でもとにかく、誰もが「ああ、カトーくん今日はその作業か。災難だけれど、これも勉強だから。とにかく落ち着いて。失敗しても全然かまわないよ」と言うので、逆に緊張感が延々と続いた。

 作業を全て済ませたのが定時退社直前。そこではじめて、今日の作業が「誰もが嫌がる難しい作業そっくりの、実は楽な仕事」だと判明した。
 なんだか無駄に疲れた気がする。しかし「難易度が高く、かつリラックスして挑むべきお仕事」ではなかった事は、幸運だったのかもしれない。

 

 あまりに足が疲れるため、塗るタイプの薬を買ってみた。太いリップクリームみたいな造りで、患部にぐりぐりと塗りこむ仕様。
 無臭性と書かれているものの、明確にメントール臭がする。おまけに塗ったところが熱く感じる。ちょっとだけ、ぴりぴりとした痛みもある。
 「痛みが気になる方は、石鹸で洗い流すと緩和されます」と添付文書には書かれているが、これ、洗い流して良いものなのだろうか。洗ってしまったら効かないと思うのだが、どうだろう。
 とにかく、気休め程度に考えて、しばらく塗ってみることにする。

 

 

知ろうとすること。 (新潮文庫)

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