清水区まで行ったついでに、「キャトル・エピス」に寄る。そして、ささやかな個人的な祝い事のためにチーズタルトを食べた。
キャトル・エピスのケーキは、どれも見栄えが良い。「今日はチーズタルト」と決めていたにもかかわらず、やはり迷う。メロンタルトや桃のタルトの華やかさも捨てがたいし、イチジクのタルトだって食べたい。でもやっぱり、チーズタルトを選んだ。
何度か食べた事があるけれど、もちろん今日のチーズタルトも美味しかった。
美味しかったのだが、なんとなく他の「季節のフルーツ系」の事も気になる。まあ、後日また訪れればいいか、と自分を納得させていた時に、隣の席から「おかわりしちゃおう」という声が聞こえてきた。
3人くらいの、若い女性のグループ。「美味しいから、おかわりっ」「じゃあ私は2つ追加」「今度は何にしようか」といった話が聞こえる。横目で見ていると、1人当たり3つ食べているようだった。
ケーキのおかわり、そんな事が可能なのかと耳を疑った。
原理的には全然問題無い。僕だって3つくらいは食べられるし、経済的にも不可能とはいえない。しかし何といえばいいだろう、ちょっと贅沢が過ぎるのではないか。天罰がくだりそうなタイプの贅沢だと言えるだろう。
それに店員さんの目だって気になる。「おやおや、これはとんでもないケーキ・アディクトですね。肝脂肪は気になりませんか?」などと思われやしないだろうかと気になってしまう。
しかし葵区の「マリアサンク」ではケーキ2つと飲み物のセットがあって、ずいぶん多くのお客さんがそれを目当てに来ているみたいだから、あるいは2つまでは「今日は特別」という事なのかもしれない。
僕だって数種類のケーキ盛り合わせプレートみたいな品は好きだ。ふと思い出したが、吉祥寺の「A.K Labo」では、普通サイズのケーキと、小さなお菓子を組み合わせて注文するのが個人的通例になっている。
でもなあ、と今も思う。ケーキを1つ食べて、そこから「おかわり!」と追加して、最終的に3つ食べてしまうというのはやっぱり凄い。日常的なラインを超えた人達、という感じがする。
そして考えてしまう。「僕も追加で、『おかわり』をしたら幸せになれたのかもしれない」と。酒も飲まない煙草も吸わない、ギャンブルだってしないのだ。それくらいの放蕩は許されるのではないか。店員さんの目は気になるけれど。