真夜中に目覚めて、トイレを使ったところ、水が流れなかった。
我が家のトイレは全て電動式で、水タンクなどは無い。なかなかスタイリッシュだが、こういう時は困る。「大」や「小」のボタンを押すと、排水はするものの水が流れてこない。つまりポンプか電磁弁か、そういう水道からの供給を制御する部分が動かないのだ。
仕方がないから(何しろ眠かった)とりあえずバケツで水を流して対処。トイレが壊れた旨をメモに記してドアに貼り付け、再び寝た。
朝いちばんに、住宅会社へ電話する。こういう時に24時間サービスで駆けつけてくれる事になっているのだ。
電話はすぐに繋がるけれど、サービスマン的な人は夕方に来ると言われてしまった。そういう対応は24時間サービスとは言わない気がするけれど、来ないと言うのなら仕方がない。バケツ・スタイルで我慢する。
先ほど、サービスマンが来た。水回りの専門家ではなくて、住宅会社の社員ぽい人。マニュアルを読んで、点検扉をチェックして、動作チェックを行う。
診断結果は「原因不明」とのこと。トイレ全体の交換が必要と伝えられた。
原因不明で片付けられては困るので、こちらから提案する。「制御盤は全て動作している、排水動作もする、チェック・モードでは「水を出す」事だけができない、制御系はそれを検知しない、ならば水を出す機構のどこかがが壊れているのではないか?」と聞いてみた。
すると「なるほど、良いヒントですね」などと言ったあとにしばらくかちゃかちゃと手を動かし、「じゃあ電磁弁です」と断言する。じゃあ、って何だよと思ったけれど、とりあえず方針が決まる。電磁弁を交換すればいい。
しかし電磁弁は「在庫が無い」と言う。取り寄せに2日ほどかかる、と言うのだ。ベストセラーのありふれたトイレの、重要部品が無い訳が無いじゃないかとは思うけれど、問いただすのも悪い気がして(このサービスマン氏はものすごく疲れた顔をしていたし、タブレット型端末で在庫チェックして無いのなら仕方がない)、後日の修理を約束して帰ってもらった。
最後までトイレ全体の交換を主張していた。なんとなく「よくわかっていないから、大雑把なマニュアル通りの対応をする」そんな雰囲気を感じる仕事っぷりだった。
でも2日も待っていられない。上手く立ち回れば何とかなりそうな気がする。
というわけで、近所にあるトイレ・ショールームに行ってみた。家と同じメーカーの品を扱っているお店。
もうすぐ店じまい、という感じだったが、とりあえず聞いてみる。「実はトイレが壊れた、型番はこれで、症状はこういう感じ。修理できないだろうか」と伝える。
カウンターの女性は即答する。
「ああそれなら電磁弁ですね。在庫は無いですが、後継機の部品が代替として使えます…しかし、今日はもう作業員が帰ってしまった。電磁弁の交換はそれほど難しくない。お客様の自己責任で、こっそり交換するというのなら中古の部品をお渡しすることもできます」と提案してくれる。おそろしく話が早い。しかも中古部品だから無料でいい、というのだ。
この場合、中古部品を付けている間は保証は効かなくなる。しかし後日、正規品をきちんと取り付けてくれるというし、修理が終わればメーカー保証も効くと言ってくれた。
感謝して、中古の電磁弁を借りた。サービスマニュアルのコピーもくれた。工具も貸してくれた。おまけに「ご迷惑をおかけして申し訳ありません」と、粗品のティッシュまで貰ってしまった。
今、住宅会社に電話して、2日後のトイレの修理はキャンセルした。修理はショールームに任せる。
そして中古の電磁弁を組み付けてみた。配線はコネクタをかちっとはめるだけ、配管だってネジを回すだけで繋がる。きちんと動いた。
今日は1つの教訓を学んだ。『トイレの修理を2日も待たせるサービスマンは信用ならない』ということだ。
だってそうだろう、トイレが2日間も壊れたまま、なんて状況が現代日本ではレアケースであって、まずありえないと思うのが正解なのだ。平気な顔をして「在庫が無いので2日待ちです」なんて言うサービスマンがいたら、さっさと他の手段を探したほうが良いだろう。
逆に、ショールームの対応は好感が持てた。決して表には出ない、一種のルール違反をしているのだけれど、何にせよ問題は解決した。明日辺り、菓子折りを持ってお礼に行きたいくらいだ。