卵の賞味期限が近いので、オムレツを焼いた。シンプルなチーズ・オムレツ。
最近は家事を家族に任せる機会が多く、昔ほど自炊をしない。それでも大抵の家庭料理は、理屈と知識でなんとかなってしまう。
例えば、野菜に火を通す時には、水分を出して良いのか悪いのか事前に判断し、強火でさっと加熱するか、弱火でじっくり加熱するか、それほど迷わずに決めて行う。きちんとしたレシピを知らなくても、最終的な到達点さえわかれば自分で手順を組み立てられる。科学実験と同じで、何のための手順なのか理解できているのならば、作業を平易にすることも難しくないのだ。
パンやケーキは別として(製パン製菓は、どちらかといえば環境を整えるほうが難しい)、刺身からほうれん草のおひたしまで、そうやって何とか形にできるくらいの基礎知識を持っている。
しかしオムレツは本当に難しい。
週に何回か焼いていると上手くなるのだけれど、しばらく間を置くと失敗が増える。火加減や手の動かし方を知っていても、満足するレベルに達しないのだ。特にチーズ・オムレツは難しい。筑前煮とは違う。
もちろん過去の経験から、失敗をリカバリして一応食べられる形にまではできるが、しかし外食で食べるような品には程遠い。これほどまでに手技が求められる家庭料理も少ないのではないか。マニュアル化が難しい品目の暫定1位、それが僕にとってのオムレツ。
というわけで、今日のオムレツは“まあまあ”の出来具合だった。味は良かったけれど、形はもう少し美しくできたと思う。あるいは外形を無視して、味だけを追求する方針をとっても良いのだが、オムレツはあの形が好きなのだ。
しばらく機会を見て、オムレツを我が物としたい、そう思った夕食だった。
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