ドーナツを食べ、棺桶を設計する。

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早めのおやつを、ミスタードーナツで食べる。

シナモンクランツは今年も美味しい。シナモン・オールドファッションがあれば最高なのだが、それは高望みかもしれない。他にココナツ・チョコレートも食べた。
友人の注文した「熱とろポン・デ・リング」を半分だけ貰う。シロップを混ぜたわらび餅に油を染み込ませたような味。僕好みではないドーナツだった。基本的に「熱とろ」とか「生」を謳う洋菓子で美味しいものは少ないと思う。理由を話すと長くなるが、ちょっとした反発心も感じる(バラエティー番組のタレントが発するコメントに対する反発心に近い、かもしれない)。例外は生チョコレートで、はじめて食べた時はびっくりした。

 

薬指の標本 (新潮文庫)

親の知人の家で不幸があった。その別れは悲しいとはいえ大往生であり、特に問題は無い。しかし遺族である親の知人(彼も既に老人である)は、葬儀社と棺桶の価格に不満があったらしい。「どうして棺桶があんなに高いのか。足元を見ている!」と怒る。とにかく不満が多い人なのだ。

というわけで、なぜか僕のところに「自分がもしもの時に備え、棺桶を用意しておきたい。ホームセンターの合板で作りたいので設計をお願いする」という(いささか偉そうな)依頼が来た。断ろうかと思ったけれど、親の知り合いということもあり設計図を作成する。といっても、僕はCADなんて持っていないから、Adobe Illustratorを使用して展開図を書いただけ。設計的には単なる箱である。市販の棺桶より少し寸詰まり(長さ190cm)なのと、合板の継ぎ目が見えてしまうのが見苦しいかもしれない。
ともあれ、設計図通りにカットしてもらえば、有事の際には使えるはず。きちんと書類を残しておいて、喪主の目に留まって、喪主が従ってくれればの話だが。

一応、底が抜けたりはしないように工夫してみた。釘の数も最小限。「棺桶 自作」で検索した情報が役に立った。
ちなみに組み上げて立てておけば、そしてダボと棚板をセットすれば、本棚にもなる。設計図の隅に、棚板の図面も添えておいた。でも「普段は本棚として使用し、最終的には棺桶に使用する」という活用法は、おそらくされないと思う。

こうして「町の気難しい変わり者の老人」の技術的バックアップをするのが正しいのかは、自分でもよくわからない。「高いといっても、そこはきちんとしようよ。葬儀屋さんだって棺桶屋さんだって生活があるのだから」と説得すべき状況なのかもしれない。あるいは「Amazonで買え」と。
でもなんとなく、この「あらかじめ用意された(組み立てを待つだけの)棺桶」は、使われないまま終わりそうな気がする。冠婚葬祭を自分の望み通りできる人は少ないし、いざ自分が臨終の時に「倉庫にある節約版自作棺桶を使ってくれ」と言い遺せる人はさらに少ないだろう。部屋の隅や倉庫にカット済みの板材があれば、別のものに活用しそうな、そういう人でもある。

しかし「棺桶の設計をする」というのは小川洋子の小説にありそうで、言葉の感じとしては悪くない。彼女の小説ならば気持ちを込めて丁寧に作り上げるだろうが、僕の場合は30分で済ませるところが違う。いずれ忘れたころに、この変わり者の老人の臨終に何らかの形で関わるのだとしたらと考えると、ちょっと形容しづらい気分になる。

本当は無印良品あたりが、棺桶を作ってくれると有難いのだが。クラフト紙のものと、集成材のものが選べれば最高だと思う。タモ材は、燃やすにはちょっと勿体無いと思う。僕はクラフト紙で十分。

 

 

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