クリスマスのドーナツ2個と、90年代からの声。

 

クリスピークリームドーナツの「シュトーレンリング」。シュトーレンの味はしない。でも美味しい。ピスタチオツリー。クリスピークリームドーナツの、クリスマススベシャル。
今日のおやつは、クリスピークリームドーナツのクリスマススベシャルから2種類。
シュトーレンリング」は、ホワイトチョコレートにドライフルーツとナッツと粉砂糖で、シュトーレン風に仕上げた品。
油っぽいイースト生地とドライフルーツで、かすかにシュトーレン風味かもしれない。しかし普通に、全く別個の食べ物として美味しかった。何かスパイスが欲しい。
もう一つの「ピスタチオツリー」は、見た目だけクリスマス風で、ピスタチオの風味はそれほど感じない。とはいえ、これも普通に美味しい。
あと少し、クリスマスの持つ「西洋のお祭り」としての癖が込められていれば嬉しかったのだが。これでは日本発のドーナツ屋の季節メニューと変わりがない。
僕は海外から来たチェーン店に、異国情緒を期待しすぎる傾向がある。200円でシュトーレンが買える訳がないし、ドーナツで再現できる可能性だってほとんど無いと知っているのに。



家の電話が壊れた。ファクシミリ部分の機械的トラブル。
電話というものは、壊れたら代替の端末を貸してもらえると思っていたが、それはおそらく電電公社の頃の印象だろう。もちろん電器屋では、貸してもらえない。
そこで、ずっと仕舞いこんでいた、学生時代に使っていた電話機を引っ張りだした。物持ちが異常に良くて、しかもすぐに取り出せるのが、我が家の特徴といえる。
繋いでみたところ、きちんと通話はできた。


僕が大学生だったあの頃の「留守電付き壁掛けプッシュホン」は、とにかく多機能だった。
まだ携帯電話やPHSを持っていなくても変に思われなかった最後の時代。街では1円でPHSの契約ができた。サークルの運営メンバーだったけれど、僕は携帯もPHSも持っていなかった。
過渡期といえばその通りだが、学生生活の通信インフラとしては固定電話と携帯電話が混在していて、多分そのせいもあって、あの時代の固定電話はおそろしく多機能だった。
基本機能としての留守電録音は当たり前。それを外から(許可されたユーザーだけが)聞いたり編集したりできたし、応答メッセージの変更まで公衆電話の操作で行えた。一種の「音声掲示板」に使えた。
しかも全ての音声は、小さなカセットテープに録音される。


というわけで、試しにそのテープ(マッチ箱くらい)を再生してみた。雑音が交じるが、音は聞こえる。
「はいカトウです。ピーという音のあとで、メッセージをお話し下さい。話し終わったら♯を...」という自分の声が流れた時は、変な感じの動揺をした。
確かに自分の声なのだろうが、全然そう思えない。知らない、若い男の声としか感じられない。そしてぶわっと、学生生活の電話にまつわるエピソードを思い出してしまう。
そのまま再生を続けると、懐かしい友人達の「留守電メッセージ」が聞こえてくる。多くは卒業前の、連絡事項のような素っ気ないもの。
でもそれだけじゃない、ブログには書きづらいような言葉も聞き取れる。電話を使い終えた季節は、お別れの季節でもあった。
もう二度と会わないであろう人達の、ずいぶん親しみのある言葉の数々。留守電の録音なので、たまに他のメッセージで上書きされる。
泣きはしなかった。でも「感慨」に浸りすぎて、なかなか日常が戻ってこなかった。今だって少し変な感じがする。


あの頃、レンタルCDショップには「面白留守電メッセージ集」みたいなCDが並んでいた。空港内みたいな雑音や、飛行機の交信みたいなもの、90年代的に盛り上がったラジオDJっぽい応答メッセージ。
僕はそういうノリが苦手で、頑なに自分の声か初期設定を使っていた。
それで良かった。今、あの90年代の「面白留守電、例えばダウンタウントーク風」の録音がされていたら、悶絶していたと思う。
過去からの言葉は、友人や知人だけで十分すぎる。昔の浮かれた空気なんて、不意打ち的に聞きたくはない。




そのテープは、電話機から外した瞬間に細くちぎれてしまった。
もう90年代後半の声は聞けない。自分の若いころの声も聞けないけれど、そのほうが当たり前なのだ。
今は何だってデジタルデータ化されて、延々と引き継いでいける。どちらが良いとか悪いではなくて、どちらでもいいと思う。


この本を買ってしまった。
架空の地図を愛好する、というのは凄い事だと思う。「それっぽいけれど、何処にも無い」という不思議な地図。
でも架空世界に出てくる企業のロゴマーク等が好きなので、わかる気がする。少し前に話題になっていた、架空紙幣と似た「オフィシャル感」の素敵さ。

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